スタンレー電気は,殺菌能力の高い265nmの波長で光出力50mWを実現した深紫外(DUV)LEDを含めた,深紫外製品をラインアップしている(ニュースリリース)。
この製品は,深紫外LEDで一般的に用いられるサファイア基板を使用せず,欠陥密度の低い単結晶の窒化アルミニウム(AIN)基板を採用した。これにより,寿命を悪化させる要因となるLED素子層中の欠陥密度が大幅に低減されている。
また,素子構造の最適化,および独自の光取出しナノ構造を採用することより,殺菌用途に最適な265nmの深紫外LEDとして,世界最高レベルの高出力特性,および長寿命化を達成し,効果的に安定した殺菌性能を実現することが可能となる。
人口の増加や経済活動の増加にともない,地球規模の水不足や水質汚染が深刻化しつつある。また,現在人類が直面している新型コロナウイルスの脅威は,先進国を含む世界規模で,細菌やウイルスの危険が潜んでいる事を浮き彫りにした。
同社では,長らく生産してきた殺菌用水銀ランプの代替光源として,深紫外LEDの開発を続けてきた。その結果,長年培ってきた配光技術,パッケージング技術と窒化アルミニウム半導体基板開発の融合で,殺菌に最適な265nmの発光波長で世界最高レベルの出力を可能にした深紫外LEDを製品化した。
一般的な細菌,ウイルスの感度特性の波長は260~270nmで,この波長の深紫外光を照射することが最も高い殺菌効果を実現する。細菌やウイルスは,遺伝子情報に基づく分裂を繰り返して増殖することで,感染・発症に至る。この増殖に必要な遺伝子情報を持つDNAやRNAは,深紫外光照射に作用し,螺旋構造を破壊することで不活化され,増殖が妨げられるとしている。
製品の特長は以下の通り。
・高い殺菌力を持つ波長265nmにより短時間での殺菌を実現。
・優れた温度特性により,温度上昇に伴う出力低下が少ない。
・小型パッケージにより,光源配置の自由度が高い。
・波長275nmもラインアップ。