徳島大ら,テラヘルツ波でイオン電流を計測

徳島大学,横浜国立大学,豊田理化学研究所,米マサチューセッツ工科大学の研究グループは,テラヘルツ波によって超イオン伝導体内のナトリウムイオンを瞬間的に加速し移動させ,イオン電流として捉えることに成功した(ニュースリリース)。

テラヘルツ波によって物性変化を誘起する研究では,物質中の電子の状態を変化させるものが大半で,イオンの質量が電子の質量に比べて3桁以上大きく,外場により動かすのが難しいため,イオンの状態を変化させる研究はごく限られている。

物質内のイオンが動くことで電流が流れる物質を固体電解質と呼び,一部の二次電池などのエネルギー貯蔵デバイスなどに用いられている。固体電解質の中でも特にイオンが移動しやすいものを超イオン伝導体と呼ぶ。

研究グループは,超イオン伝導体の一つであるナトリウム・ベータ・アルミナを研究対象とした。ナトリウム・ベータ・アルミナは最も古くから知られている超イオン伝導体の一つであり,ナトリウム・イオウ電池などに用いられている。

ナトリウム・ベータ・アルミナでは,ナトリウムイオンがアルミナのスピネルブロックに挟まれた2次元層をホッピング移動し,電流となる。2次元面内のイオン伝導率は室温で1 S/m に達し,液体電解質と同等の値となる。

研究グループは,テラヘルツ波によって超イオン伝導体のイオンを大きく揺さぶれば,イオンがエネルギー障壁を越えて移動すると考えた。そして,超イオン伝導体に強いテラヘルツ波を照射しながら電流を計測したところ,イオンが移動した証拠となるイオン電流を捉えることに成功した。

交流のテラヘルツ波の照射により直流の電流が流れたのは,イオンがテラヘルツ波の電場に対して非線形に応答したためであり,また,一般的な(高時間分解能でない)電流計で電流を捉えることができたのは,イオンが移動し,その移動した先で留まっている証拠となる。さらに,テラヘルツ波の透過率変化から,イオンの移動に要する時間はピコ秒のオーダーであることがわかった。

この研究成果は,短時間でのイオンの制御が重要になる「超高速イオニクス」(イオンの性質を利用して電気素子を構成する技術)への第一歩となり,イオンの制御を動作原理とする素子への応用が期待されるとしている。

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