ソニーは,生命科学分野で,組織や細胞の特徴を分析するために使用する蛍光試薬の素材となる,蛍光色素「KIRAVIA Dyes(キラビアダイズ)」を独自開発し,試薬メーカーへのライセンスを開始する(ニュースリリース)。
「KIRAVIA Dyes」は,同社独自技術の有機高分子のバックボーン(骨格)に蛍光色素分子を付加して構成した高分子蛍光色素。自動合成装置を用いることで高分子化している。
この高分子構造は,付加する蛍光色素の分子の数を増やし,かつその分子間の距離を調整して消光現象を緩和できるため,明るさの増強が可能となる。
また,このバックボーンは市場にある多くの色素と組み合わせ可能なため,これまで試薬に用いることが難しかった数多くの色素を生かし,試薬の色のバリエーションを容易に増やせる可能性がある。
昨今,細胞分析装置(フローサイトメーター)の分野では,技術進化により数十色といった多色の細胞分析が可能になっており,こうしたソリューションを将来的に強化することにつながる見込みだという。
今後,「KIRAVIA Dyes」を用いた試薬は,フローサイトメーターや顕微鏡をはじめとした機器を通じて,再生医療や免疫学などの研究他,生命科学分野で活用されることが期待されるという。複数の試薬メーカーへのライセンスを通じて,ライフサイエンス研究における「KIRAVIA Dyes」の活用機会を広げていく。また,同社では「KIRAVIA Dyes」を用いた試薬の自社販売も,今春を目途に予定している。
同社は,2010年よりフローサイトメトリー事業に参入し,様々なフローサイトメーターを商品化してきた。「KIRAVIA Dyes」の販売を通じてソリューションを強化し,先端医療の研究加速などライフサイエンス分野へ貢献し,さらなる社会的価値の提供に努めていくとしている。