理科大,鉄サビを利用した光触媒を開発

東京理科大学の研究グループは,「オキシ水酸化鉄(FeOOH)」に適切な条件下での光を照射すると,工場や農場から排出される有機廃液を光触媒反応で浄化できることを明らかにした(ニュースリリース)。

今回,研究グループは,地球上に豊富に存在し,無害かつ環境に優しい「鉄」を原料としたオキシ水酸化鉄,いわゆる鉄サビの光触媒としての機能に着目し,その性質を解明することを研究の目的とした。

実験ではまず,オキシ水酸化鉄を光触媒として利用することで,模擬汚染水と見なしたメタノール水溶液から水素が発生するかどうかを確認した。pHを2に調整したメタノール水溶液にオキシ水酸化鉄を入れ,水銀とキセノンガスを封入した水銀キセノンランプの光を照射すると,予想通り水素が発生した。

次に,発生した水素が水由来なのか,それともメタノール由来なのか,目印として同位体の重水素に置き換えた水と,同様に重水素の目印をつけたメタノールを使って確認する実験を行なった。

まず目印として同位体の重水素に置き換えた水に,メタノールを加えた水溶液と,普通の水に,同位体の重水素の目印をつけたメタノールを加えた水溶液の2つの水溶液を最初の実験と同様の状態に調整し,水銀キセノンランプの光を照射した。発生した水素の同位体の違いをガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で確認したところ,発生した水素の一部は,普通の水由来であることが分かった。

どのような条件だと最も水素が発生しやすいのかを調べたところ,溶液が酸性であるほど水素の発生量が多くなり,pHが1だとpHが9のときより20倍も発生量が多くなることが分かった。また,水溶液に還元剤を入れた方が,水素の発生量が多くなることも確認できた。

有機化合物としては,調べた中ではプロパノールを水溶液に入れたときに最も水素発生量が多く,メタノール,ヘキサノール,エタノール,シュウ酸の順に発生量は少なくなった。ほかには,酸素濃度が濃いほど発生量が多くなり,紫外線を当てる必要があることも分かった。

他の光触媒と比較したところ,オキシ水酸化鉄の水素発生量は,現在最もポピュラーな光触媒として市場に出回っている酸化チタンの25倍にもなることが確認できた。

研究グループは今回の研究成果の将来的な可能性について,オキシ水酸化鉄が可視光で同じような活性を示すように材料創製することで,太陽光と鉄サビで汚染された水を浄化し,安心・安全な水の確保が可能となるとし,また環境浄化とエネルギー生産を兼ね備えた材料開発の基となる研究だとしている。

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