日本触媒と輪島キリモトは,日本触媒が開発した最先端技術の「紙より薄いフィルム光源(iOLEDフィルム光源)」と,日本古来の伝統工芸技術である「螺鈿(らでん)」を掛け合わせた他に類のない光る輪島塗「余光(よこう)」を制作した(ニュースリリース)。
「iOLEDフィルム光源」は,有機ELの長年の課題であった大気中の酸素や水分による素子の劣化を,日本触媒とNHKとの共同開発による材料および素子技術(iOLED技術)により克服し,厚さ0.07mmと紙より薄く,高い柔軟性を実現している。
2019年6月より,日本触媒と輪島キリモトは,アートディレクターの四尾龍郎氏とともにiOLEDと輪島塗のコラボレーションを開始し,螺鈿が発光する iOLED×輪島塗盃「余光」を完成した。
「余光」は表面を薄くくり抜いた器に,貝殻薄片とiOLEDフィルム光源を貼り付け一体化したものをはめ込み,その表面に漆を一層塗り,完成した。漆を薄く何度も塗り重ねていくことで強く美しい塗膜を生み出すことが輪島塗の大きな特長であり,螺鈿で扱う貝殻薄片もできるだけ薄いことが条件となる。iOLEDフィルム光源が厚さ0.07mmと紙よりも薄いため貝殻薄片との一体化が実現した。
輪島キリモトは,伝統技術と最先端技術の融合により,これからの新たな豊かさのヒントを見つけられたとしている。