東北大ら,オール有機のバイオ発電スキンパッチ作製

東北大学,サンアローの研究グループは,酵素によるバイオ発電の機構を搭載したスキンパッチBIPP(Bio Iontophoresis Patch,商標出願中)を完成させた(ニュースリリース)。

皮膚に微小電流を流すイオントフォレシスは,皮膚下への水分や薬剤の輸送促進に利用され,しわ取り・制汗・疼痛や眼精疲労の緩和などの効果も認められている。

これまでは外部電源が必要なために病院やクリニックでの利用に限られていたが,小型電池の搭載によって携帯型となり,さらに酵素で発電するオール有機物の使い捨てパッチが実現すると,湿布などのような日用品として,多様な用途で普及が進むと期待されている。

研究グループは,経皮通電パッチを駆動する電源として,酵素を電極触媒に用いるバイオ電池の可能性を検討してきた。経皮投薬パッチのバイオ電池による駆動の実証を2015年に報告し,その後の実用化研究を経て,簡便な操作で安全・安定な経皮通電が行なえる,オール有機の完全使い捨てパッチを完成させた。

具体的には,パッチ構成部材(酵素電極・内部抵抗・吸水性燃料タンクなど)の薄膜化と柔軟化を徹底することによって,貼付箇所の形状や動きにかかわらずに安定な密着を保持できた。また,高電圧化やポーラスマイクロニードルアレー(PMNA)の搭載など,カスタマイズメニューが充実し,製品ごとの多種多様なスペック(サイズ・形状・出力・寿命)に対応できる技術基盤が整った。

アノード(マイナス極)は,フルクトース(果糖)もしくはグルコース(ブドウ糖)を酸化する酵素を修飾した炭素繊維布であり,吸水タンクに形成される燃料溶液と反応する。カソード(プラス極)は,酸素 O2を還元する酵素や錯体を修飾して作製した。

アノード電極とカソード電極は,撥水処理を施した伸縮性内部抵抗によって,パッチ内で電子的に導通され,イオン的にはフレームとシェルの接合で確実に絶縁される。シェルにはカソードに O2を供給するための窓(四角),およびタンクへの給水をチェックする窓(小丸)を設けた。O2供給窓はガード綿で撥水化してある。

皮膚組織にはコラーゲンなどの固定負電荷が多いため,皮膚中のイオン電流の主体はNa+などのカチオンとなる。そのため,カチオンの移動方向(アノード→カソード)に水和水の流れが顕在化する。この電気浸透流が皮下への水分供給やマッサージ効果,および薬剤の浸透促進効果をもたらす。

今回のバイオ発電スキンパッチBIPPは,柔軟な酵素電極を駆使するメタルフリーの完全使い捨て型として世界初であり,さらに分子透過性のポーラスマイクロニードルアレーと組み合わせることによる多様な医療・健康応用が期待できるとしている。

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