理研,吹きガラス原理で微小レンズを作製

理化学研究所(理研)の研究グループは,薄板ガラスに形成した微細空洞中の気体を熱膨張させることで,レンズとして使用できるガラス製の微小ドーム構造を短時間に高精度で簡便に大量作製する技術を開発した(ニュースリリース)。

透明な微小ドーム構造やその集合体であるアレーは,優れたレンズの機能を持ち,光学,生命科学などの専門分野に限らず,スマートフォンのカメラ,センサーモジュールの部品などにも応用されている。特に近年は,デバイスや装置の小型化・高性能化に伴い,それらに適合した微小レンズを製造する技術が求められている。

材料がプラスチックであれば鋳造法によって大量に製造でるが,プラスチックはガラスに比べて耐久性が低く,透明性も劣る。また,廃棄プラスチックによる環境負荷の問題もあることから,ガラス製レンズの需要が高まっている。しかし,ガラスの微細加工は手間と時間,さらには費用もかかるため,現状では高精度な加工を短時間で大量に行なうことは困難となる。

今回,研究グループは,(1)ガラス基板上に浅い微小なくぼみを形成する,(2)カバーガラスを重ねて仮接合し閉じた微細空洞を作る,(3)吹きガラスの原理を利用して,周囲を真空引きしながら加熱することで空洞中の空気を膨張させる,(4)ゆっくり冷却するという手順により,設計した寸法通りにガラス微小ドーム構造を形成できることを実証した。

今回の試験では,厚さ100μm~250μmのガラス板を用いて,直径30μm~1mmのさまざまな種類の微小ドーム構造を作製し,そのまま使えば凹レンズ(縮小レンズ),充填液を導入すれば凸レンズ(拡大レンズ)の機能を持つことを示した。また,高温条件下や酸・有機溶媒中でもレンズ機能は失われず,ガラスの性質が保たれることを確認した。

この研究で開発したガラス微小ドーム構造の作製手法は,短時間に高精度かつ簡便に大量生産できるという利点がある。ガラスで作製されていることからレンズとしても長期安定性に優れており,この研究で行なったような極端条件下での使用のほか,多様な工業用途にも向いているという。

さらに,研究グループではこれまでに開発したガラスの特徴を生かしたマイクロ流体チップや,細胞や組織などのさまざまな生体試料の分析などの研究を進めており,今回のレンズはガラス製でしかもマイクロ流路に組み込める大きさであることから,バイオ分析などの用途においても非常に有用なものであるとしている。

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