東工大ら,サブナノ粒子の計測法を開発

東京工業大学,科学技術振興機構(JST)の研究グループは,高感度化したシリカ被覆ナノ粒子増強ラマン分光法(SHINERS)を開発し,新しいナノ材料素材として潜在的な触媒機能を有するものの,これまで観測できずにその特異的な物性評価ができなかった粒子径0.5~1.5nmからなるサブナノ粒子の微弱な分子振動の計測に成功した(ニュースリリース)。

研究グループは,ガスセンサーなどに利用される酸化スズのサブナノ粒子は,構成原子数が60個,28個,12個と減少することにより,一酸化炭素の酸化反応活性が増加することを解明している。

しかし,その構成原子数と反応活性の相関は解明されていなかった。触媒の結晶構造や表面における結合構造を解明するには振動分光法が有効だが,サブナノ粒子の観測は振動信号が微弱であるため従来の分析法では検出が困難だった。

サブナノ粒子の振動分光スペクトルを得るために,研究グループはシリカ被覆ナノ粒子増強ラマン分光法に注目した。しかし,従来のSHINERS法は感度不足からサブナノ粒子の検出はできなかった。

そこで,金の増強素子の表面にラマン信号の増強能が最も高い元素である銀を被覆し,さらにシリカで被覆した金銀コアシェル増強素子を開発した。増強素子の粒子径が100nmの時,ラマン信号増強能が最も高くなることを実験的に明らかにし,理論計算を用いて実証した。

この金銀コアシェル増強素子を用いて酸化スズのサブナノ粒子を観測したところ,ラマンスペクトルの計測に成功し,さらにサブナノ粒子の構成原子数に依存した微弱なスペクトル挙動変化を捉えることにも成功した。

酸化スズサブナノ粒子の化学組成式を決定するために,X線光電子分光法(XPS)を用いて酸化状態を調査し,得られたスズ(Sn)と酸素(O)の組成式を求めた。得られた組成式に水分子を適当数添加したそれぞれの化学組成式(Sn12O25H16,Sn28O48H12,Sn60O112H24)について,理論計算的手法で構造安定化後の構造に対してラマンスペクトルをシミュレーションし,実験で得られた振動スペクトルと一致することを明らかにした。

こうして得られた酸化スズサブナノ粒子の構造から,スズ-酸素結合の平均結合距離を算出すると,構成原子数の小さいサブナノ粒子ほど,結合距離が長くなり,酸素供給能力が高くなることが示された。これは構成原子数が小さくなることで,触媒活性が向上する原因を直接的に解明する結果だという。

今回,開発した超高感度ラマン分光法が,サブナノ科学の新領域において未知材料の,物性・活性の解明につながる評価指針となることが期待されるとしている。

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