光波,大阪府立環境農林水産総合研究所,静岡県農林技術研究所,農業・食品産業技術総合研究機構の研究グループは,施設栽培ナス,メロンなどに赤色LED光を照射することで,農業重要害虫であるミナミキイロアザミウマに対して高い防除効果を示す技術を開発し,「赤色LEDによるアザミウマ類防除マニュアル」を作成した(ニュースリリース)。
栽培施設で大発生する害虫の多くは,殺虫剤に対する抵抗性を発達させており,薬剤のみでの防除は困難になっている。殺虫剤の使用量を減らすためには薬剤以外の防除法を組み合わせる必要がある。そこで,特に問題となるアザミウマ類を対象に,赤色LEDを利用した防除技術を開発した。
効果のメカニズムは以下の通り。
・赤色光を植物に照射するとミナミキイロアザミウマが近づきにくい
日中では,赤色光を照射しない植物にミナミキイロアザミウマは誘引されるが,赤色光を照射した植物にはあまり誘引されなくなる。
・赤色光はミナミキイロアザミウマの行動を制御する
日中では,寄主植物の葉と似た色の緑粘着板にミナミキイロアザミウマは誘引されるが,緑粘着板に赤色光を照射すると誘引されなくなる。
またミナミキイロアザミウマが誘引される波長域として,夜間では,UVから赤色までの波長域の光に成虫が誘引されるという。
同マニュアルには,赤色LED照射によるアザミウマ類の防除のしくみと赤色LED防除装置の導入や利用に関する手引きが記載されており,都道府県普及指導員および JA営農指導員などを対象としているという。