名大ら,睡眠障害の光遺伝学マウスを作成

著者: higa

名古屋大学と米SRI Internationalの研究グループは,世界で初めて2型ナルコレプシーのモデルマウスの作成に成功した(ニュースリリース)。

睡眠障害の一種であるナルコレプシーは,日中に過度の眠気を伴い,突然眠ってしまう病気として知られ,日本人は600人に1人がナルコレプシーの患者であると言われている。

ナルコレプシーの主な特徴は,突然眠ってしまう睡眠発作,突然体の力が入らなくなる脱力発作(カタプレキシー),いわゆる金縛りである睡眠麻痺・入眠時幻覚となる。ナルコレプシーには1型と2型が存在しており,2型のナルコレプシー患者では,カタプレキシーの症状は見られない。

そこで病気が起こるメカニズムを理解するためには,同様の症状を示すモデルマウスの存在が重要となる。1型ナルコレプシーに関しては,オレキシン神経を脱落させたマウスがモデルマウスとなっていたが,これまでに2型ナルコレプシーのモデルマウスは存在しなかった。

そこで今回,研究グループでは,オレキシン神経の活動だけを制御するために,新しく遺伝子を改変したマウスを作成した。

近年,光遺伝学が,神経科学研究に導入されている。今回,黄色の光を当てると神経の活動を抑えることのできるアーキロドプシン3と呼ばれる光感受性タンパク質をオレキシン神経だけに発現するマウスを作成した。緑色の光を脳内に照射すると,実際にオレキシン神経の活動を抑えることができ,その結果,マウスを眠らせることに成功した。

それだけでなく,オレキシン神経にアーキロドプシン3タンパク質がたくさん発現するよう遺伝子を改変したマウスでは,光を照射しなくても,体内時計のリズム異常や,睡眠障害が現れることが分かった。

このマウスでは,ナルコレプシー患者で見られるレム睡眠の増加が観察されたが,1型ナルコレプシーに特徴的な症状であるカタプレキシーの症状は見られなかった。またオレキシン神経の脱落は見られなかったという。

そのため,世界で初めて,2型ナルコレプシーモデルマウスの作成に成功した。これらの研究により,2型ナルコレプシーの症状が発現するメカニズムが判明し,より良い治療薬の開発に役立つ可能性があるという。

また研究グループは今後,作成したモデルマウスを用いて,様々な薬物のスクリーニング等を行ない,ナルコレプシー2型の症状を改善する薬剤の開発に寄与したいとしている。

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