九工大ら,新たな熱輸送現象の測定に成功

九州工業大学,仏パリ・サクレー大学,ポワティエ大学,メキシコ国立工科大学高等研究所の研究グループは,新しい熱輸送現象を測定することに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

従来,薄膜の厚みが100nm以下になると熱を輸送する格子振動(フォノン)が伝わりにくくなり,熱輸送が低下することが知られてきた。

しかし今回,さらに膜を薄くしていくと体積に対する表面の割合が大きくなるため,表面にのみ存在する電磁波(表面フォノンポラリトン)の輸送する熱エネルギー量が相対的に増え,結果として断面積あたりで評価する熱伝導率が増加することを発見した。

今後は,この発見によりフォノンだけでなく表面フォノンポラリトンによっても熱が輸送されることが示されたため,例えば,深刻な発熱問題を抱えている電子機器の冷却技術に新たな選択肢を提供することになるという。

パリ・サクレー大学とポワティエ大学は,表面フォノンポラリトンによって薄膜における熱輸送が促進されることを提唱してきたが,これまで対象となる超薄膜の作製が極めて難しく実験で示されることがなかった。

今回,北九州学術研究都市の施設利用で作製が難しい実験系(膜厚 20nm の自立膜)の作製に成功し,測定ではメキシコ国立工科大学高等研究所のグループにも試料提供して研究を確実なものとした。

その他関連ニュース

  • 静大ら,酸化チタン薄膜のエピタキシャル成長に成功   2022年09月27日
  • 横国大ら,バレー間散乱に資する振動モードを特定 2022年07月29日
  • 東工大,温度で断熱と放熱を自動制御する材料開発 2022年04月13日
  • 東大ら,テラヘルツ光を電流に変換する原理を発見 2022年03月31日
  • 京大,基板に対する分子の垂直配向を実現 2022年02月24日
  • 宇大ら,光による量子もつれ状態の生成過程を解明 2022年01月05日
  • 東大ら,超高温・大面積ナノ薄膜装置を開発 2021年12月10日
  • 鳥取大ら,極薄膜物質の原子配列解析を加速 2021年11月25日