KDDI総合研究所は,2019年9月,静岡県沼津市沿岸にて青色LED光無線通信技術を用い,防水対策を施した海中のスマートフォンから陸上に向けたライブ映像の配信と,陸上から海中のスマートフォンに向けたSNSメッセージ配信の実証実験に成功した(ニュースリリース)。
現在,水中では音波による無線通信が一般的だが,伝送速度が限られており,動画像などの情報量の多いデータのリアルタイム通信には適していない。そこで,水中でも低遅延・大容量の無線通信が可能な,LED光無線通信技術に期待が寄せられている。
LED光無線通信技術は,大規模な設備での検証は進んでいるものの,一般の認知度は高いとは言えない。同社は一般用途を想定し,スマートフォンでもこの通信技術が利用できないか,これまで検討を進めてきた。
水中での光無線通信が可能な距離は,水の濁りによって変わってくる。今回の実証実験は,青色LED光無線通信装置(太陽誘電製の試作品)を使って海面から水深5mまで光無線通信が可能であることを確認したうえで,防水対策を施したスマートフォンを接続し,海中から陸上に向けたライブ映像の配信(VistaFinder Mxを使用)と,陸上から海中のスマートフォンに向けたSNSメッセージ配信を行ない,成功したというもの。
VistaFinder Mxは,同社が開発した遠隔地からスマートフォンなどで撮影した映像を安全・高品質に伝送する遠隔作業支援システム。
同社は,スマートフォンを海中で光無線ネットワークに接続した実証実験は世界初で,今後,海中のレジャーや作業といった分野で,スマートフォンの新たな市場の創出が期待できるとしている。
なお,今回の実験の詳細は,2019年10月15日から10月18日に幕張メッセで開催される展示会「CEATEC 2019」のALANコンソーシアムのブースに展示する。