横市大ら,室温と弱い磁場で巨大磁気抵抗を発現

横浜市立大学,東京大学,高エネルギー加速器研究機構の研究グループは,室温でかつ比較的弱い磁場で巨大磁気抵抗が発現する物質を発見した(ニュースリリース)。

磁場中に置くと電気の流れ易さが変わる現象である磁気抵抗は,「電気の流れ易さ」と「磁場」が強く結びついた現象として,そのメカニズムを探る研究などがここ数十年の間に盛んに行なわれ発展してきた。

その後,電気の流れ易さの変化が数桁にも及ぶ,巨大磁気抵抗が発現する物質が数多く発見されていたが,発現温度がマイナス数十℃以下であったり,超伝導材料の電磁石でないと発生しないような10テスラ程度の強い磁場が必要であったり,電気の流れ易さの変化が緩やかであったりと実用性に乏しいものだった。

今回の研究で発見された巨大磁気抵抗効果を発現する物質は,マンガン(Mn)と酸素(O)が主な構成元素である「マンガン酸化物」という物質群の1つで,組成式は,NdBaMn2O6(Nd:ネオジム,Ba:バリウム)となる。この物質は,2002年ごろにすでに発見されていたが,当時はこの物質の単結晶体を作製する方法が確立されておらず,微小な単結晶が集まってできた多結晶体についての情報しか得られていなかった。

今回の研究では,この物質の大型(数ミリ角程度)で良質な単結晶体の作製に成功し,これを300K(27℃)くらいにすると電気の流れ易さが100倍変化することを発見した。さらにこの物質を磁場中に置くと,2テスラほどのところで同様の変化がより低い温度で起きることもわかった。

最近は入手が容易になった強力永久磁石(ネオジム磁石)では,磁力が非常に強いものが1テスラ程度なので,2テスラという値はかなり実用的な大きさに近付いたという。

研究グループは,今回発見された物質は発現温度,磁場,電気抵抗変化の急峻性すべてにおいてこれまでよりも優れているとし,今回の研究により,巨大磁気抵抗現象を用いた応用分野の加速が期待できるとしている。

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