新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」において,ちとせ研究所は,食品や化学などのさまざまな業界における生物資源を活用した生産(バイオ生産)現場に適用可能な,業界横断型人工知能(AI)システムと,そこで収集した光学系センサーなどのデータを効果的に活用するための業界共用データ基盤の開発を開始する(ニュースリリース)。
政府は「Society 5.0」を実現するため,IoTやAIなどさまざまなテクノロジーによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決をもたらす「Connected Industries」政策を推進している。
「Connected Industries」重点5分野の一つであるバイオ・素材分野では,バイオ生産現場において旧来からの職人技に頼ることが多く,人工知能(AI)を用いた人の制御を超える生産マネジメントシステムの構築が期待されていた。
また,経済協力開発機構(OECD)は,バイオテクノロジーが経済生産に大きく貢献できる市場として「バイオエコノミー」という考え方を提唱し,2030年にはバイオエコノミーは全GDPの2.7%(約200兆円,OECD加盟国)規模に成長すると予測している。
NEDOは,今年度から3年間の計画で,AIシステムとデータ基盤が一体となったAI・データエコシステムの成功事例を創出し,幅広いデータ連携による価値の創出を促進することを目的に「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」を推進している。
事業の助成先である,ちとせ研究所は,食品や化学などさまざまな業界におけるバイオ生産現場に適用可能な業界横断型AIシステムと業界共用データ基盤を開発する「コンボリューショナルデータを活用したバイオ生産マネジメント事業」を開始する。
この事業では,従来バイオ生産現場で活用されていなかった光学系や電気化学系などのセンサーデータと,生物資源を有価物に変換するための培養技術との相関関係を見出すために,業界規模でデータを集積・共有するためのデータ基盤システムを構築する。
それを元に,人間の経験と勘では従来不可能だった最適な培養手法を予測するAIシステムを開発し,培養効率を格段に引き上げる手法の確立を目指すとしている。