国立遺伝学研究所と米スタンフォード大学は共同で,ゼブラフィッシュには少なくとも2つの大きな睡眠シグネチャーがあることを発見した(ニュースリリース)。
徐波睡眠(ノンレム睡眠)と急速眼球運動睡眠(レム睡眠)は,哺乳類,鳥類,爬虫類で見つかっているが,このようなニューロンのシグネチャーが羊膜類以外の脊椎動物でも見られるかどうかは不明だった。
今回研究グループは,ゼブラフィッシュにおける非侵襲性の蛍光睡眠ポリグラフィー検査(fPSG)を開発し,脳全体の不偏的な活動記録と,眼球運動,筋肉運動および心拍の評価と組み合わせることで,ゼブラフィッシュには少なくとも2つの大きな睡眠シグネチャーがあることを示した。
研究グループはこれらのシグネチャーを徐バースト型睡眠(SBS)および伝搬波型睡眠(PWS)と命名した。これらは,それぞれ徐波睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠に共通する性質を有している。さらに,哺乳類の睡眠に関連するメラニン凝集ホルモンシグナル伝達が,ゼブラフィッシュにおいてもPWSシグネチャーと全体的な睡眠量を調節していることを見いだしたという。
研究グループは,これらの観察結果は,哺乳類と魚類で共通する睡眠の神経シグネチャーが,4億5000万年以上前の脊椎動物の脳で生じたことを示唆するとしている。