九州大ら,粒子の強誘電性を原子のずれで解明

九州大学,北海道大学,ファインセラミックスセンターナノ構造研究所,産業技術総合研究所は,セラミックナノ粒子における原子位置の「ずれ」を可視化することに成功し,そのずれが原因で電気が溜まることと,粒子の上側と中程で溜まっている電気のプラスマイナスの方向が異なっていることを見出した(ニュースリリース)。

大量の電気を蓄えることができるコンデンサは,現在小型化・高性能化が求められ,その主成分であるセラミックス粒子も微細化が進められ,より微細で電気をたくさん溜めることができるセラミックス粒子の開発が必要となっている。

セラミックスがどのくらい電気を溜めているかは,通常X線を使ってセラミックス内部における原子の位置を精密に測定することで明らかにすることができるが,100nm以下の微細なナノ粒子ではこの測定は容易ではない。しかし,近年電子顕微鏡法の改良により原子の位置を精密に測定することができるようになり,ナノ粒子にも適用が可能となった。

その一例として,最も多くコンデンサに用いられるセラミックスであるチタン酸バリウム(BaTiO3)の場合,バリウム(Ba)原子とチタン(Ti)原子の位置を測り,Ba原子がなす四辺形の中心から,Ti原子の位置がどの方向にどのくらいの大きさで「ずれているか」を求めれば,溜まっている電気の量を推定することができる。

研究グループはこの方法を使って,直径約23nmのBaTiO3ナノ粒子の観察を行なった。今回の研究では,電子線の焦点を合わせる場所を上側の表面とおよそ中程の2箇所にして,2枚の観察面から画像を取得した。このことにより,粒子の上側部分と中央部分で原子の位置を別々に測定することができる。

この方法で実際に測定された粒子の上側の表面に電子線の焦点を合わせて撮影した像と,粒子中程に焦点を合わせて撮影した像について解析を行なったところ,粒子上側ではTi原子がおよそ右下~下の方向に平均で約0.015nmずれていたのに対して,粒子中程ではおよそ左下方向に平均で約0.019nmずれていることがわかった。

この成果は,①Ti原子の位置がずれていることにより,この粒子が電気を溜めていること,②上側と中程で溜まっている電気のプラスマイナスの方向が異なること,を示している。

これにより,このナノ粒子が電気を溜めて記録する「強誘電性」を示すことを明らかにしただけでなく,粒子の上部と内部で電気の方向が異なるマルチドメインと呼ばれる状態にあることを原子スケールで可視化した初めての結果であり,コンデンサのさらなる小型・高性能化につながる知見だとしている。

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