カシオ計算機は,信州大学と共同研究中の「イメージングデータを用いた皮膚がん診断ソリューション開発」が日本医療研究開発機構(AMED)の「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」に採択されたことを発表した(ニュースリリース)。
AMEDは国が定める「医療分野研究開発推進計画」に基づき,医薬品創出,再生医療,がん等9つの統合プロジェクトを中心とする研究開発を推進。大学や研究機関などが行なう研究を支援し,研究開発やそのための環境の整備に取り組んでいる。
皮膚がんである悪性黒色腫の診断スキルの習得には長期間の経験が必要とされており,早期の段階で悪性黒色腫を適切に判断するのは難しいという問題がある。
同社は,2015年にデジタルカメラ開発で培った画像変換技術を基に,病変の構造や血管の分布状況を顕在化させることで効率的にダーモスコピー検査(皮膚の腫瘍やホクロなどの色素病変を,ダーモスコープと呼ばれる特殊な拡大鏡で観察する検査)を学べる無料のサービス「D’z IMAGE」を開始。以後,医工連携を行ないながらコンテンツを拡充している。
また,今年5月には皮膚にレンズを直接当てて撮影する接写と,通常の撮影が1台で可能なダーモカメラ「DZ-D100」(共同研究:千葉大学),撮った画像を管理できるパソコン用ソフト「D’z IMAGE Viewer」(共同研究:信州大学)の販売・提供を開始している。
今回の採択を受け,同社は今後最長で5年間にわたって,研究費用の支援を受けることが決定した。同社では今後,悪性黒色腫および類似疾患に対する良性・悪性の識別精度の向上を目指して,技術開発を進めていくとしている。