オーテックス,ウェアラブル向け深部体温センサーを発売

電極とコードを取り付けたセンサー(4.4mm×4.4mmタイプ)

オーテックスは,2009年設立のスイスのスタートアップ,greenTEGが開発した体内深部温度(CBT:Core Body Temperature)センサーの取扱を開始した。このセンサーは熱流束(Heat Flux)を計測するもので,レーザーのパワーメーターとしても展開している。

炎天下のスポーツや高温下での作業など,熱中症のリスクが高いシーンにおいて適正な体温の管理がますます求められているが,近年ではスマートウォッチに代表されるウェアラブル機器によってユーザーの脈拍や呼吸数などが測れるため,体温計測にもその期待が高まっている。

しかし,例えばスマートウォッチを装着する手首は体躯の中心から離れており,かつ手足は体温を放出する役目を担っている。さらに皮膚表面の温度は様々な要因によって簡単に変動するため,スマートウォッチなどで正確な体温を測定することは難しかった。

正確な体温の指標として体内中心の温度であるCBTが注目されているが,CBTを計測するには,耳,鼻,直腸に体温計を挿入するか,ピル型の「飲む体温計」によって体内から計測するしか方法が無い。そのため,いずれも手軽にかつ定期的に行なうのは難しく,またウェアラブル機器との相性にも問題がある。

今回オーテックスが取り扱いを開始したCBT計測ユニットは,熱流束(Heat Flux)を計測する高感度センサーと独自のアルゴリズムを組み合わせることで,皮膚表面からCBTの測定を可能にした。センサーのサイズは2mm×2mmで厚さも200µmと小型で薄いため,ウェアラブルデバイスへの搭載にも適している。

この熱流束とは単位時間当たりに単位面積を流れる熱エネルギー量のこと。センサーが熱の伝わる方向(センサー表面から裏面もしくはその逆)とその速度の情報を電圧として取り出し,アルゴリズムで処理することでCBTを精密に計測することができる。実際にピル型体温計とで比較しても,±0.2°以内に収まる測定精度のほか,体型や皮膚の色,性別などが測定に影響を及ぼさないことも確認しているという。

またウェアラブル機器に搭載すれば,体温のモニタリングを継続的に行なうことができるので,体温の周期的な変化からユーザーのサーガディアンリズム(概日リズム)をモニタリングすることができる。つまり熱中症の予防意外にも,例えば不眠症などの睡眠障害やアルツハイマー病,パーキンソン病などの早期発見,詳細な運動のパフォーマンス向上や精密な月経周期のモニタリングといった応用も期待できる。

同社ではウェアエアブルの評価用センサーの貸し出しを行なっており,顧客と開発プロジェクトを立ち上げ,greenTEGとの橋渡をしながら,アルゴリズムのライセンスとセンサーを組み合わせて販売する。

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