都市大ら,宇宙望遠鏡で新たな種族の天体を発見

東京都市大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した,現時点で人類が手にしている最も暗い天体まで写っている天文画像(ハッブル・エクストリーム・ディープ・フィールド)のゆらぎ解析を行ない,新たな種族と考えられる天体が大量に存在することを発見した(ニュースリリース)。

宇宙がどれほどの光で満たされているのかを「宇宙の明るさ」として測定できれば,宇宙の誕生から現在までに,星などが宇宙に放出した光の総量がわかる。さらにその「宇宙の明るさ」の空間分布を「ゆらぎ解析」することで,さらに多くの情報が得られる。

研究グループは1990年代以降,「宇宙の明るさ」測定における研究を続け,宇宙科学研究所が打ち上げた赤外線宇宙望遠鏡IRTSおよび「あかり」により,近赤外線領域において,宇宙の明るさ及びゆらぎが既知の天体から予想されるより大きいことを見いだした。

最近では,NASAの小型ロケットに宇宙望遠鏡を搭載して打上げ観測を行なうCIBERにおいて,可視光域においても空が予想より明るいことが確認され,この宇宙には「未知の光源」が存在すると予想していた。

今回,研究グループが発見したこれらの天体は,従来の観測では把握できなかった「ミッシング・バリオン」の可能性があるという。この天体の特徴は,直径30光年以下と小さく,また見た目の等級が30等級以下と,点源と区別できないほど暗い。約13憶年前に光り輝いた後に暗くなって現在の宇宙では見えず,質量・光度はそれぞれ太陽の約300倍・1,000倍(推定)で,銀河の数より多い1,000兆個ほど(推定)存在するなどがある。

研究グループは,これらを「フェイント・コンパクト・オブジェクト(Faint Compact Object)」(FCO)と名付けた。その正体は現時点では不明だが,小さめのブラックホールに物質が落ち込む時に光り輝く「ミニ・クェーサー」などが候補として考えられるという。

研究グループは,FCOの正体を明らかにすることを目指し,アメリカ航空宇宙局(NASA)の小型ロケットに,「宇宙の明るさ観測」に限ればハッブル宇宙望遠鏡の18倍以上感度が高い独自の宇宙望遠鏡を搭載し,「宇宙の明るさ」の観測に特化した「CIBER-2」(近赤外線での宇宙背景放射を観測する国際共同実験)を2020年2月ごろ行なう予定としている。

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