東大,深層学習と顕微鏡で白血病の薬剤耐性を評価

東京大学は,多数の血液細胞を特殊な高速明視野顕微鏡を用いて,無標識で連続撮影し,白血病細胞の微妙な形態学的変化を深層学習を用いて高精度に検出することで,白血病細胞の薬剤耐性を全血中で評価することに成功した(ニュースリリース)。

近年,白血病の精密医療の1つとして,個々の細胞の機能を直接測定するファンクショナル・アッセイが注目されている。しかし,現在のファンクショナル・アッセイは蛍光標識した細胞を撮影するものが多く,さまざまな制約を受けることがある。

例えば,蛍光撮影は撮影速度が遅く,溶血や標的細胞の濃縮など前処理をする必要があるため,全血をそのまま測定することはできない。また,蛍光標識自体も高価で,医療診断として利用するには,費用や時間,手間を必要とする。

今回の研究ではまず,「オプトフルイディック・タイムストレッチ顕微鏡」と呼ばれる特殊な高速明視野顕微鏡を用いて,市販の高速度カメラよりも広い視野と速い撮影速度を実現し,マイクロ流体チップ上を毎秒百万細胞以上のスループットで流れる多数の血液細胞を無標識で連続撮影した。

さらに,深層学習を活用し,赤血球や白血球に混ざった白血病細胞を画像の中から識別できるようにした。深層学習では,エンコーダーとデコーダー呼ばれる2組の畳み込みニューラルネットワークを利用し,画像から特徴量を抽出することにより薬剤耐性を評価した。

エンコーダーで抽出された特徴量が細胞の形を十分捉えていることを保証するために,デコーダーがこの特徴量を使ってもう1度入力画像を復元できるようにした。特徴量の情報量は入力画像よりも遥かに少ないため,厳選された特徴量しか抽出されない。この方法を実際の白血病患者の血液適用した結果,白血病患者の白血球が健常人の白血球よりも薬剤応答性が高いことがわかったという。

今回の技術により,従来の検査法で必要であった希釈や溶血,分離,標識など多くの前処理を行なわずに薬剤耐性の評価ができるようになった。

患者ごとの薬剤耐性を無標識の血液サンプルから迅速に調べることができるようになるため,研究グループは,これまでの個別化医療の定石であったバイオマーカーに頼らない,新たな個別化医療を可能とする技術として,精密医療を促進させる可能性があるとしている。

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