東大ら,光電子増倍管でガンマ線を観測

東京大学,横浜国大,日本大学,神奈川大学は,日本・中国で建設したチベット空気シャワー観測装置により,かに星雲から最大450TeVという史上最高エネルギーのガンマ線が放出されていることが分かったと発表した(ニュースリリース)。

チベットASγ実験は,中国チベット自治区の標高4,300mの高原に多数の粒子検出器を配置し,宇宙空間から降り注ぐ超高エネルギー宇宙線の観測を1990年から行なっている。高いエネルギーの宇宙線(またはガンマ線)は,大気上層の窒素原子核などと衝突し多数の粒子を生み,それがさらに衝突を繰り返してシャワー状に粒子が降り注ぐ「空気シャワー」と呼ばれる現象を引き起こす。

この空気シャワー中の粒子を,多数の粒子検出器を碁盤の目状に配置したチベット空気シャワーアレイと呼ばれる装置で観測する。各検出器で計測された粒子密度分布や到着時間分布を用いて,元の宇宙線(またはガンマ線)の持つエネルギーと到来方向を決定することができる。

しかし,天体からやってくる100TeVを超えるようなガンマ線の強度は弱く,一様にやってくる宇宙線雑音の数百分の1以下しかないため,観測が難しかった。

研究では,宇宙線雑音を劇的に減らすために,空気シャワーに含まれるミューオンの数に着目した。ガンマ線起源の空気シャワー中のミューオン数は,宇宙線起源のそれと比べて50分の1程度なので,ミューオン数を計測することでガンマ線と雑音である宇宙線を選別することが可能となる。

そこで,純度の高いミューオン数を測定するために,空気シャワー中のミューオン以外のほとんどの粒子が遮断される地下2.4mに水チェレンコフ型ミューオン検出器を新たに建造した。水深1.5mのプール中に光電子増倍管を取り付けた構造により,ミューオンが水中で発するチェレンコフ光を観測し,空気シャワー中のミューオン数を計測した。

研究では,2014年から約2年間のデータを解析した。100TeV以上のエネルギー領域で宇宙線雑音を千分の1以下にすることに成功し,地球から約7000光年離れた「かに星雲」方向から約20個のガンマ線が観測された。それらのガンマ線のエネルギーは最大で450TeVにも達し,人類史上最も高いエネルギーのガンマ線の観測に成功した。

南半球のボリビアにも,チベットASγ実験と類似の観測装置の建設を計画しており,この領域の観測が進めば,銀河系内の宇宙線のエネルギー限界や発生原理,および発生源を特定することができ,謎であった宇宙線起源の解明の研究が飛躍的に進むとしている。

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