阪大ら,2つの顕微鏡で骨形成を可視化

大阪大学,産業技術総合研究所(産総研),ライオンは,骨芽細胞(骨を作る細胞)が,細胞内の不要なものを運搬・分解するリソソーム(真核細胞の中の一重膜の小胞で酸性の加水分解酵素を含む細胞内小器官の1つ)を使って,基質小胞(骨の素となる小胞)を運搬・分泌していることを発見した(ニュースリリース)。

骨組織が形成される初期過程において,骨芽細胞から30-300nmの基質小胞が細胞外へと分泌されることが必須であると考えられ,その仕組みの解明が求められてきた。

しかし,nmオーダーの微小物質を観察できる電子顕微鏡では試料を化学固定した上で真空中に置くため生細胞を直接観察することが不可能で,生細胞を直接観察できる光学顕微鏡では微小物質の観察が困難だった。

そこで今回研究グループは,これらの問題を克服し,基質小胞の形成・分泌過程を明らかにするために,生きたままの細胞中の微小物質を直接観察できる走査電子誘電率顕微鏡(SE-ADM)および超解像蛍光顕微鏡を用いた。その結果,生細胞中の基質小胞の可視化を実現し,さらに,基質小胞が細胞内に蓄積していき,リソソームによって運搬され,細胞外に分泌されていることを解明した。

研究グループは今回の研究により,骨や歯といった硬組織形成の基本的なメカニズムに関する理解が深まり,骨粗鬆症や歯周病等の硬組織疾患の病態解明や治療法の開発につながるとしている。

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