北大,レーザー干渉計で宇宙ダストの由来を解明へ

北海道大学は,スウェーデン宇宙公社(SSC)の観測ロケット「MASER 14」に2波長レーザー干渉計を搭載し,「炭素質宇宙ダストの核生成過程の解明」を目的とした微小重力実験を実施した(ニュースリリース)。

隕石に含まれている炭素質物質の1つに,太陽系の年齢よりも古い炭化チタンを含んだ炭素微粒子がある。この宇宙ダストである炭素質微粒子は,46億年よりも昔に太陽系の元となった天体が放出したガスの中で,まず炭化チタンのナノ粒子が生成し,その上に炭素が降り積もるという順に生成した。

この「炭化チタンのナノ粒子を中心に含んだ炭素微粒子」は,その後に星間空間を漂い,分子雲から原始太陽系星雲を経て現代の地球までやってきたもの。しかし,これまでの実験ではこの炭素微粒子の生成過程を実証できていなかった。

これは,高温のガスが冷えていくときに,多くの場合炭素は一番初めに固体になる物質であると考えられており,炭化チタンのナノ粒子が炭素微粒子よりも先に生成する条件は非常に限られているため。また,炭化チタンのナノ粒子は炭素が豊富な星の周囲で観測されている20.1μmの赤外線バンドの起源物質であることが報告されたが,これまでにこれを支持する結果は報告されてない。

そこで今回の実験では,炭素質宇宙ダストが天体の放出ガス中で生成するプロセスを解明するために,そのガス中で形成したことがわかっている「炭化チタンのナノ粒子を中心に含んだ炭素微粒子」に着目した。

屈折率変化を100万分の1以下の精度で捉えられる小型の2波長レーザー干渉計を作製してロケットに搭載することで,核生成時のガスの温度と濃度を同時に決定した。気体の屈折率は温度,濃度,レーザー波長の関数となる。したがって,異なる2波長の光を微粒子生成環境に入射して屈折率変化を同時に得れば,簡単な計算の後に温度と濃度の情報を求めることが可能。

加えて今回の実験では,核生成過程の微粒子の赤外スペクトルを測定するため,過去に日本の観測ロケット実験を行なった際に開発した「浮遊ダスト赤外スペクトルその場測定装置」を搭載した。中間赤外領域は鉱物にとっての指紋領域であり,非晶質から結晶への変化や,その結晶構造の同定を行なうことが可能となる。

実験の結果,炭化チタンのナノ粒子の生成過程の理解に最も重要な表面自由エネルギーと付着確率を求めるために必要なデータの取得に成功した。研究グループは今回の実験で得られたデータを分析することにより,炭素質の宇宙ダストの生成過程が明らかになり,宇宙史の中での物質進化の解明が飛躍的に進むことが期待できるとしている。

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