東大ら,HSCで遠方超新星を1,800個発見

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU),東京大学,東北大学,甲南大学,国立天文台,京都大学らの研究グループは,ハワイのすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」(HSC)を用いた観測により,赤方偏移1以上(約80億光年遠く)の遠方超新星58個を始め約1,800個の超新星を発見した(ニュースリリース)。

超新星爆発は星が一生の最期に起こす大爆発で,特に,Ia型と呼ばれる超新星はその絶対的な明るさがほぼ一定であるため,見かけの明るさの明暗により超新星までの距離を測定することができる。

また,近年ではIa型超新星よりも5-10倍も明るい超高輝度超新星と呼ばれる特殊な超新星が次々と発見されており,その明るさのために非常に遠方のものまで観測できることから,宇宙初期にできた大質量星の性質を知るのに重要な手がかりになる。

これらの超新星を効率よく発見し測定するためには,空のできるだけ広い領域を長期間にわたって繰り返し観測することが必要。HSCは,すばる望遠鏡の8.2mの大口径による集光力とシャープな像を撮れる解像度の高さを活かして遠くの非常に暗い天体まで観測できることに加え,満月9個分に相当する広い視野を一度に観測できる。

研究グループは,2016年11月から半年間にわたり,ろくぶんぎ座方向のCOSMOS領域と呼ばれる天域約7.5平方度(HSCの視野5つ分)を繰り返し観測し,約1,800個の超新星を発見した。超新星の検出には機械学習などの手法が用いられている。

観測は青い波長(473nm)から赤い波長 (1,005nm)まで5つのフィルターで行なわれ,得られた多色の光度曲線をもとに超新星のタイプを判別したところ,うち約400個がIa型超新星と考えられることがわかった。このうち129個については正確な赤方偏移が知られており,58個は赤方偏移が1以上,つまり,約80億光年より遠くにあることが明らかになった。

これまで,これほど遠くのIa型超新星は主にハッブル宇宙望遠鏡が過去10年間に実行した観測で発見された50個弱が知られているのみ。また,赤方偏移が2前後より大きい(約100億光年ほどの距離)超高輝度超新星も5個発見され,出現頻度が測定できたことから,遠方超新星の探査でも,HSCがこれまでの観測装置を凌駕する能力を有していることが確認された。

研究グループは,今後,発見されたこれら遠方のIa型超新星のデータを使って,より正確な宇宙加速膨張の値を導き出し,ダークエネルギーが時間とともにどのように変化しているかを調べていくとしている。

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