NAOJ,新装置で原始惑星系円盤を観測

国立天文台は,すばる望遠鏡に搭載された新しい観測装置を用いて,若いころの太陽系に似ていると考えられる惑星系を持つ恒星「LkCa 15」の原始惑星系円盤を,これまでで最も鮮明に写し出すことに成功した(ニュースリリース)。

若い太陽型星であるLkCa 15は,惑星の材料となるガスや塵でつくられた原始惑星系円盤を持つ。これまでの研究から,この円盤には大きな隙間があることが知られていた。そしてこの隙間は,塵が集まった「若い惑星」が円盤の中で形成されている。

しかし,地球から500光年以上離れた距離にあるLkCa 15の周りを回る惑星を,太陽系と同じようなスケールで地上から直接捉えるには,地球の大気ゆらぎの影響を補正する補償光学を持ったすばる望遠鏡のような大望遠鏡であっても非常に難しい。

これまで,開口マスキング干渉法と呼ばれる最先端技術を基にした観測結果から,3つの惑星候補天体が土星から海王星の軌道を回っていると考えられており,これが円盤内にある太陽系外惑星として初めて認識された。しかしこの観測方法では,塵の円盤による散乱光に比べ,惑星からの光がどれくらい来ているのかを実際に判断するのは特に難しい。

すばる望遠鏡に搭載された極限補償光学装置「SCExAO」は,一般的な補償光学装置よりも高速で高感度なカメラと2000素子もの可変形鏡の組み合わせを用いることで,地球の大気ゆらぎの影響をより高度に補正し,そのままではぼやけて見えてしまう星像をより鮮明に映し出すことができる。

さらに面分光装置 「CHARIS」に光を送ることで,天体から来る光の「色」の場所ごとの違いを高い解像度で直接見分けることができるため,惑星の大気成分などを詳しく調べることもできる。

今回,すばる望遠鏡に搭載された新観測装置による観測で,これまで惑星から発せられていると考えられてきた光のほとんどが,実は原始惑星系円盤からのものだったことがわかった。また,円盤の中に隠れている惑星は,より暗く、従来考えられてきたものよりもさらに質量が小さい可能性があることが判明したとしている。

キーワード:

関連記事

  • 京都大学 特別教授 野田進教授

    フォトニック結晶レーザーが拓く「高輝度半導体レーザー」の次章

    半導体レーザーは小型、高効率という強みを持つ一方で、高出力化するとビームが乱れ「輝度」が伸びないという壁があった。フォトニック結晶レーザーはその常識を塗り替えつつある。その研究の先駆者である京都大学高等研究院・特別教授の…

    2026.04.02
  • 【主張】政策と技術を結ぶ日本の可能性

    世界最大の光学展示会 3月15日から米国ロサンゼルスでOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)が開幕する。通信バブル崩壊後、存在感を失っていた同…

    2026.03.25
  • Orbital Lasers、30.2億円の資金を調達 宇宙用レーザーの送受光技術を開発へ 

    Orbital Lasersは、シリーズAラウンドとして第三者割当増資及びJ-KISS型新株予約権の発行により30.2億円の資金調達を実施した(ニュースリリース)。これにより、シードラウンドからの累計エクイティ調達額は3…

    2026.03.23
  • 岡山大など、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用静電気センサを開発

    岡山大学、大阪公立大学、九州工業大学、産業技術総合研究所、春日電機は、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用の静電気センサを開発した(ニュースリリース)。 近年、人工衛星を活用した宇宙ビジネスが拡大している。小型衛星ネッ…

    2026.03.03
  • JAXA、X線分光撮像衛星で『宇宙の嵐』を観測

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、X線でもっとも明るい銀河団であるペルセウス座銀河団における高温ガスの運動をX線分光撮像衛星「XRISM」で精密に測定し、銀河団中心部では超巨大ブラックホールが、その外側では暗黒物質に支…

    2026.02.26

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア