島津製作所は,マイクロフォーカスX線CTシステム「inspeXio SMX-225CT FPD HR Plus」の発売を発表した(ニュースリリース)。価格は8,800万円~(ソフトウェア込み,税別)。
大型高解像度フラットパネル検出器を搭載する同装置は,広い視野を撮影しながらも細部に至るまで精細で高コントラストな断面画像を取得できる。ソフトウェアの改良により,実用的な画像解像度を向上させ,表示スピードを高速化している。
X線CTシステムは,マイクロフォーカスX線発生装置とX線検出器の間で回転する検査対象物(ワーク)のX線透視画像をコンピュータ処理することで,ワーク内部を3次元で観察する。CT制御ソフトウェアは,CT装置の操作,データ取得,再構成,CT画像表示までの全工程で作業者をサポートする。
同社の産業用X線CTシステムは,金属や樹脂のワークを破壊せずにほぼリアルタイムで内部を観察できるため,主に自動車部品,電子機器,リチウムイオン電池などの品質管理,研究開発で利用されている。新システムについては,発売後1年間で国内外合計30台の販売を目指すという。
主な特長は以下の通り。
・演算処理の高速化とソフトウェアの高解像度化…同社独自開発の超高速演算処理システムを発展させて,CT画像再構成の処理時間を1.5倍高速化。同社独自のMPR表示機能も高解像度化させたことにより,解像度の高いCT画像をより高速かつ鮮明に解析できるようになった。
・「どこでも拡大再構成」機能を搭載…一度撮影したデータに対して,どの領域でも注目箇所だけを拡大して再構成演算が可能。拡大倍率の上げにくい対象でも高倍率の断面画像を得られる。再構成演算だけなので,再撮影は必要ない。
・フィラメントの長寿命化…X線発生装置であるフィラメントの電流値を自動で調整する機能を搭載し,フィラメントの期待寿命が2.5倍に。メンテナンス頻度を減らして,ランニングコストの低下につなげるという。