富士キメラ総研は,FA/PA,電子機器,自動車,社会インフラ,医療/ヘルスケアなどさまざまな分野において需要が増加しているセンサーの世界市場を調査し,その結果を「2019センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧 上巻:センサーデバイス編」にまとめた(ニュースリリース)。
これによると,センサー市場は認識,計測,自動化などのニーズを受け,さまざまな分野で伸びている。半導体/電子部品,自動車業界では好調な設備投資により計測,制御関連センサーの需要が増加しているほか,環境規制対応や安全対応の強化が求められる環境対応車用途,高機能化,多機能化によってさまざまなセンサーの搭載が進むスマートフォン/ウェアラブルデバイス用途などがけん引し,市場拡大を続けている。
また,世界的にIoTの実装が本格化しており,環境整備に向けてセンサーの小型化,省電力化,ネットワーク対応などの機能強化が求められている。
注目市場としたRFIDは低価格化によって,主に流通・小売向けが急速に増加し,伸長している。RFIDの採用により商品の検品,在庫管理,棚卸,販売(セルフレジ)などの店舗業務の多くを効率化することが可能となる。現状ではアパレル業界向けが中心であり,ユニクロやZARAなどの大手アパレルメーカーが採用している。
今後はドラッグストアやスーパーマーケット,スポーツ用品店などさまざまな小売店において活用が進むとみる。また,スマートフォンで値札などについているタグを読み取ることで関連商品やおすすめ情報,クーポンの獲得が可能なため,プロモーションで活用するケースも増加しており,さらに活用が広がると予想している。
TOF(Time Of Flight)センサーは,光源から照射された光を対象物に当て,その反射光の到達時間や位相差から距離を検出する空間認識センサー。画素数が少なく,構造としてもシンプルな設計となっているDirect TOFと,Direct TOFと比較して価格は高いが,高解像度化に適しているPhase TOFがある。
2018年度はDirect TOFが市場の大半を占めている。スマートフォンにおける近接センサーやオートフォーカス用途が主で,Appleなどに採用されたことで市場は大幅な拡大が見込まれる。Phase TOFは3D顔認証やAR,車載用途での採用に向けた開発が進んでいるという。
超音波センサーは,障害物の検知を行なうクリアランスソナーや駐車支援など車載用途が市場の大半を占めている。特に日本や米国,欧州などの先進国を中心にクリアランスソナーの標準搭載が進んでおり,需要が増加している。
今後は自動車メーカーが積極的に研究・開発を行なっている自動駐車の用途での採用が増えることで,伸長が期待できるとする。自動駐車の実現に向け,カメラやミリ波レーダーなどほかのセンシングデバイスとの特性の違いを補う形で,複合的な活用が進むと予測している。