カシオ,可視光通信による測位システムを発売

カシオ計算機は,LED灯の発光色を変化させて信号を送信する独自の可視光通信を使い,工場や倉庫などの屋内で作業する移動機器の位置や状態の情報を収集できるシステム「picalico(ピカリコ)」を3月14日より発売した(ニュースリリース)。

バリューチェーンにおける業務の効率化は,企業の生産性向上・競争力強化にとって不可欠となっており,その一端を担う工場や倉庫においても抜本的な改革や継続的な改善が求められている。近年では,多くの企業がIoTを活用することによって設備の情報を一元管理し,生産や物流の効率化に取り組んでいる。

この製品は,工場の自動搬送機や台車,倉庫のフォークリフト,パレットなどに設置したLED灯から信号を送信し,それをカメラで受信することで,±60cm以下の高い精度で移動機器の位置をリアルタイムに測位することが可能。また,LED灯の信号を切り替えることで,位置測位だけではなく,積荷の有無といった移動機器の状態も情報として収集できる。

測位した位置データや移動機器の情報は,動線分析システムや位置管理システムなど,さまざまな上位システムで利用できる。発売時には,パートナー企業の動線分析システムに対応し,移動機器の無駄な作業動線や滞留ポイントなどからボトルネックを解析し,工場や倉庫のレイアウト変更,作業工程の改善などに役立てることが可能という。

この製品で使用する可視光通信は,LED灯の発光色を信号として送信するため,電波の使用が制限される環境(電波の干渉・電波の遮蔽・情報セキュリティ上の制限がある場所など)や,通信用ケーブルを設置できない状況においても導入が容易としている。

この製品の仕組みは,LED灯の発光色を変化させて,信号を送信する独自の可視光通信を使用する。信号は,3色(赤・緑・青)の発光色を10Hzの周期で24回切り替える色変化のパターンで構成され,そのパターンがひとつのID情報となる。信号の受信は,LED灯の発光を撮影するカメラで行ない,その映像データを「picalico受信アプリ」でID情報に変換。あらかじめID情報に登録したフォークリフトなどの位置情報を「picalicoポジションアプリ」で算出する。

なお,信号として送信する色変化のパターンは1,062,882通りの組み合わせができるほか,カメラ1台で最大100個の信号を同時に受信し,それぞれの位置を測位することができる。

この製品の価格は1,900,000円(税抜)。基本システム構成以下の通り。
・picalico受信アプリ:1ライセンス
・picalicoポジションアプリ:1ライセンス
・LED灯:12台
・受信カメラ:4台

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