富士経済は,世界的に広がる省人化ニーズや,高品質要求への対応などから注目が集まる画像処理システムの世界市場を調査した。その結果を「2018画像処理システム市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
これによると,画像処理システム市場は2016年頃から急速に拡大している。2017年はスマートフォン関連などの設備投資が活発であったことから,中国などアジアを中心に大幅に伸長した。2018年も引き続き市場の拡大を見込む。2019年以降は米中間の貿易摩擦の影響が懸念されるものの,ユーザーの省人化推進,品質向上を目的として,成長が期待できるという。
物流業界をはじめとしたFA業界以外への用途展開も進んでいる。Amazonの配送センターで大量に2Dコードリーダーが採用されるなど,FAと並ぶ用途として注目されている。AI・ディープラーニングの活用も広がっており,今後も画像処理システム市場は好調に拡大するとみる。
エリア別でみると,すべての地域で市場は拡大していくが,特に製造業の自動化が著しい中国,その他アジア(韓国・台湾・東南アジアなど)での伸びが大きく,構成比が拡大しているという。日本,欧州,米州では自動車関連を中心に需要が増加しており,装置向けが好調なことから堅調に拡大すると予測する。
日本では省人化対策と高品質要求により,今後も装置向けを中心に伸長するとみる。中国はスマートフォン 関連など大型の設備投資にけん引され,市場が拡大している。2019年は米中貿易摩擦の影響により伸びが鈍化するとみるが,2020年以降は成長率が高まるとみている。
その他アジアでは韓国,台湾におけるスマートフォン,半導体,液晶などエレクトロニクス関連の設備投資が好調。東南アジアでは一般フィルム,印刷向け検査ニーズが増加しており,中国と同様,画像処理システム市場の拡大をけん引するという。
・FA用エリアスキャンカメラ
2017年は半導体,電子部品(スマートフォン,車載用)関連の設備投資が盛んであったことから,市場は大きく拡大した。なかでも,中国,韓国,台湾を中心としたアジアの伸びが大きく,市場をけん引した。2018年は後半から生じた米中貿易摩擦の影響から市場の伸びは鈍化するものの,前年比9.3%増が見込まれるとする。
2019年も引き続き米中貿易摩擦の影響が懸念されるものの,世界的な省人化,自動化ニーズの高まりから市場拡大は続くとし,中国,韓国,台湾などのアジアが市場の中心となり,エレクトロニクス分野で需要が増加すると予測する。日本や欧州は半導体,電子部品関連の装置向けに加え,食品・化粧品・医薬品・ライフサイエンス関連や物流など幅広い分野で需要増加が期待できるという。
・画像処理用レンズ
2017年は中国,韓国,日本を中心としたアジアにおいて需要が増加した。半導体,スマートフォン,車載用 電子部品,液晶関連の設備投資が活発化し,市場は大幅に拡大した。2018年も引き続き中国を始めとするアジアにおいて半導体,電子部品関連の需要が好調なことから,市場は伸長を見込む。
2019年以降も2018年後半から生じている日中貿易摩擦の影響などによる不確定要素はあるものの,世界的な省人化,自動化ニーズや 幅広い業種においての品質要求の高まりが追い風となり,市場は拡大するとみる。
・自動車部品外観検査装置
自動車部品専用の検査装置として日系メーカーが展開し,2015年より市場が立ち上がった。参入メーカーの増加・拡販により市場は拡大を続けている。自動車業界においても目視代替,省人化ニーズの高まりから成長が期待されるという。日本を中心とした展開であったが,2019年頃から北米や東南アジアなど海外でも需要が増加すると予測する。
・ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェア
2017年に市場が立ち上がり,2018年は前年比5.2倍の31億円を見込む。PoC(Proof Of Concept)案件が中心であり,製造ラインへの本格導入は始まったばかりだが,製造の現場では省人化が最大の課題であり,ディープラーニングを活用した目視検査員の削減を模索しているという。様々な業種で今後も世界的に需要が増加し,2021年には200億円市場に到達するとみている。