大日本印刷(DNP)と日建設計は,照明機器の存在を感じさせずに,さまざまな色の光を発するフルカラーLED照明と一体化した壁装材を共同で開発した(ニュースリリース)。
近年,欧米を中心に,人工光である照明の色や明るさを制御して,照明下で過ごす人の集中力を高め,生活リズムの改善を促すような,「ヒューマン・セントリック・ライティング(Human Centric Lighting:HCL:人間主体の照明)」の考え方が拡がっている。しかし,従来の照明に色を着けると,物の見え方に影響が出るため,従来の照明でHCLを実現することは困難だった。
こうした課題を解決するため両社は,LED照明を壁装材と一体化させ,色が着いた光を壁面からグラデーション(階調)状に発することで,物の見え方への影響を最小限に抑えながら,多様な色の光で空間全体の雰囲気を変えることができる製品を開発した。この製品は,壁装材にLED照明が内蔵されているため,照明機器の存在を感じさせない,すっきりとした空間を設計・演出することができるという。
この製品は,RGBW(赤・緑・青・白)のLED素子を内蔵し,それぞれの光の強弱を調整できるため,フルカラーでの色表現が可能で,空間の用途や時間帯に合わせて好みの色や明るさに調整できる。また,人の存在や温湿度,二酸化炭素濃度などの室内環境を検知するセンサーと連携させることで,その場の状況に合わせてインタラクティブにLED照明の色を変化させることも可能となる。
同社は,将来的にはセンシングデータと利用履歴データをリアルタイムで掛け合わせて,人工知能(AI)で解析処理を行なうことにより,LED照明の色を可変的に最適化させる機能の開発も検討している。