産総研ら,緑色蛍光タンパク質の働きを解明

基礎生物学研究所は,東北大学,豪ジェームスクック大学,産業技術総合研究所と共同で,サンゴの緑色蛍光が,サンゴの生育に不可欠な共生藻類(褐虫藻)の誘引に働くことを初めて明らかにした(ニュースリリース)。

サンゴ礁を形作り,南の海の生態系の維持に不可欠な存在であるサンゴは,その多くが紫外線や青色光を受けると緑色の蛍光を発する。これは,サンゴがその体内に緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein: GFP)を持ち,紫外線や青色光を吸収することにより緑色の蛍光を呈するため。これまで,GFPがサンゴをはじめとする刺胞動物の色彩に関わっていることは知られていたが,その役割はよく分かっていなかった。

サンゴ礁に生育するサンゴ種のほとんどは,体の中に褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させ,生育に必要な栄養の一部を共生する褐虫藻に依存している。そのため,褐虫藻なしでは生育できない。多くのサンゴ種は,褐虫藻を環境中から獲得するが,どのように両者が出合っているかは不明だった。

以前より,サンゴが環境中を遊泳する褐虫藻にシグナルを出して,褐虫藻がそのシグナルに向かって泳ぐのではないかと考えられていた。しかし,そのシグナルの正体はおろか,そもそもサンゴが褐虫藻を誘引できるのかさえ不明だった。

そこで,研究グループはサンゴの緑色蛍光に着目し,これが褐虫藻の誘引に働くかどうかを調べ,サンゴが緑色蛍光を放つ青色光の下で,褐虫藻がサンゴの周りに集まることを明らかにした。また,サンゴの緑色蛍光タンパク質(GFP)と同様に緑色蛍光を出す市販の蛍光ペイントに対しても,青色光下で褐虫藻が集まることを示した。

また褐虫藻の走光性の特性を調べた結果,褐虫藻が緑色蛍光に誘引される理由は,褐虫藻が弱い緑色光に向かって泳ぐ性質(正の走光性)と,太陽光のような強い青色光を含む光から逃げる性質(負の走光性)の二つを併せ持つためであることがわかった。これらの結果より,広いサンゴ礁の中でサンゴが共生パートナーである褐虫藻と出合えるのは,サンゴが褐虫藻の好きな緑色蛍光を出しているためと考えられるという。

近年,海水温の上昇などの環境変動により,サンゴの白化(サンゴが体内から共生藻類を失って白くなる現象)とそれに伴うサンゴの死滅が問題となっており,研究グループは,今回の研究は白化したサンゴの回復などに役立つ可能性があるとしている。

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