東大ら,可視光でアルコールを生成する触媒を開発

東京大学は,大阪大学と共同で,可視光のエネルギーを用いて,安価で入手容易な単純アルケンとアルデヒドを反応させ,ファインケミカルの合成に有用なキラルアルコールへと一工程で変換するハイブリッド触媒系を開発した(ニュースリリース)。

キラルアルコールは,医薬品や農薬などの重要な合成中間体として知られている。今までの方法でキラルアルコールを合成するためには,入手容易な原料から多段階の工程を経ることが多く,大量に廃棄物が副生することが避けられなかった。

今回,研究グループは,単純アルケンとアルデヒドを,不斉を制御しながら直接反応できるハイブリッド触媒系を開発した。このハイブリッド触媒系は,光触媒とクロム錯体触媒の二成分から構成され,通常活性化が難しいとされる単純アルケンのアリル位の炭素-水素結合を,室温,可視光照射という極めて温和な条件で切断し,アルケンをキラル有機金属種に変換する。

これがアルデヒドと反応することで,キラルアルコールが生成する。このハイブリッド触媒系の創製により,安価で入手容易な原料からわずか一工程で,廃棄物を最小限に抑え,しかも高度なキラリティ制御を伴って有用有機分子を合成できるようになったという。

研究グループは,今回の研究により,安価で豊富な炭素資源を高付加価値の有機分子へと効率的に変換する化学プロセスへの応用が期待できるとしている。

キーワード:

関連記事

  • ウシオ電機、距離計測向けパルス出力200mWの赤色レーザーダイオードを発売

    ウシオ電機は、測距儀など高精度な距離計測用途に対応した波長685nmの赤色レーザーダイオード(LD)「HL67241MG」を2026年4月より販売開始した(ニュースリリース)。 近年、建設やインフラ整備の現場では、建築測…

    2026.04.14
  • 千葉大など、CO₂光燃料化活性の作用機構を解明

    千葉大学と中国成都バイオガス科学研究所の研究グループは、二酸化炭素をメタンなどの燃料に変換する光触媒反応において、「光で生じた電子による反応」と「ホットスポットにおける反応」の役割を明確に識別・特定することに成功した。さ…

    2026.04.14
  • 九州大、CO2とプラスチックを太陽光で同時に有用化学品に変換する単一触媒を開発

    九州大学の研究グループは、CO2排出とプラスチック廃棄物という二つの深刻な環境問題に、単一のプロセスで同時に対処する画期的な光触媒システムを開発した(ニュースリリース)。 地球規模のCO2排出とプラスチック汚染は、最も差…

    2026.02.24
  • 立教大と東大、金量子ニードルで近赤外光を高輝度な可視光へ変換することに成功

    立教大学と東京大学は、42個の金(Au)原子からなる異方的な形状を持つ金クラスター超原子である「Au量子ニードル」を増感剤として用いることで、エネルギーの低い近赤外(NIR)光を高輝度な可視光(黄色・橙色)へと変換する「…

    2026.02.19
  • 東大、可視光を吸収し2ミリ秒長く発光し続ける分子状の亜鉛化合物を創出

    東京大学の研究グループは、可視光を吸収し、2ミリ秒と長く発光し続ける分子状の亜鉛化合物の合成に成功した(ニュースリリース)。 亜鉛化合物は一般に無色な物質であり、分子の中心に位置する二価の亜鉛は、可視光に対してイノセント…

    2026.02.13

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア