矢野経済研究所は,2018年度のAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)市場を調査し,市場規模推移,参入企業動向,将来展望等を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,国内経済の好況を背景とした既存設備更新と設備の新規需要拡大により,AGV市場は拡大傾向が続いており,好調に推移しているという。内訳をみると,高額なAGV車体が牽引する形であるが,低価格な駆動キットも順調に出荷を拡大している。
2017年度の国内AGV市場規模(メーカ出荷金額ベース)は,前年度比115.0%の139億5千万円であった。2018年度の同市場も前年度比106.0%の147億8,200万円の見込みと極めて活況にあるとしている。
レールを敷設しない無軌道式AGVの誘導方式は,予めガイドの敷設が必要なガイド走行方式と非ガイド走行方式に二分される。ガイド走行方式においてはほとんどのメーカーが磁気誘導方式を採用し,その他では光学誘導方式を採用するメーカーも多い。それ以外の誘導方式を採用するのはごく少数となる。ガイド走行方式のAGVでは誘導方式が採用時のメーカー選択に大きな影響を及ぼす例は少ないという。
一方で,非ガイド走行方式AGVはほとんどがレーザー誘導方式を採用しており,誘導方式によるメーカー差は出しにくい。しかし,そのソフトウェア処理技術が製品性能や使いやすさに直結することから,メーカー間での特徴を出すためのポイントとなるという。レーザー誘導方式AGVは,ガイド走行方式AGVには無い障害物回避機能を付加できることが大きな差別点であり,それ故に作業場において人と共存できる(協調できる)可能性も高まり,AGVの新規用途開拓への道も開けるとしている。
今後の市場は,既存設備の更新需要が落ち着くことで2019年度以降のAGV市場は一時減速するものの,その後非ガイド走行方式AGVの需要が高まることで徐々に持ち直し,2021年度の国内AGV市場規模(メーカー出荷金額ベース)は126億5千万円になると予測する。
既存設備の更新需要にとどまらず,非ガイド走行方式の新規需要が如何に開拓出来るか,つまりこれまでに無い市場をいかに創出できるかが,将来的にAGV市場成長のためカギを握るとしている。