ニコンは開発を進めてきた金属3Dプリンター複合機を,来年の春に発売を開始する。
この製品は金属粉末をワークに供給しながらレーザーで積層していくLaser metal deposition(LMD)方式の3Dプリンターで,造形や肉盛りの他に,レーザーヘッドを利用して,マーキング,表面再溶融による研磨,切断・穴あけ,接合(溶接)ができる複合機となっている。ワークサイズはA4で,高さが200mmまでの造形が可能となっている。分解能は±0.2mm。
同社が半導体製造装置で培ってきたレーザーやステージの制御,熱解析などの技術を応用したもので,コストの大きな部分を占めるレーザーを出力の小さなもの(出力非公表)にしながらも,うまく集光することで金属の積層造形を可能とし,同時にコストを抑えることに成功したという。
そのため積層や加工の速度は遅く,切断や穴あけも薄板に限られるなどスペックが犠牲となっている部分もあるが,価格は「数千万円の下の方」(担当者)となる予定だといい,一般的に~1億円ともされる金属3Dプリンターの導入が難しい,研究室や試作,ファブなどの用途での採用を狙う。販売ルートは同社直販となる予定。
現在のところ材料はSUSのみ。粉塵爆発などの安全性を確認したものを推奨品として同社が供給する。また,他の材料についても同様の確認を進めているところだという。加工は窒素雰囲気下となるため,窒素発生装置または窒素タンクも必要となる。
同社ではこの製品の開発を2年ほどかけて行なってきており,新たな事業分野として立ち上げる。販売目標については,まずはスモールスタートとするとして特に設けず,市場の反応を見ながら拡大していく方針だという。まずは現物を見て試してもらいたいとして,発売時には熊谷にショールームを設置する予定。