上智大学は、二次元ペロブスカイト層の基板に対する垂直配向性を向上させることに成功した(ニュースリリース)。
有機・無機ペロブスカイト化合物は,2009年に太陽電池の新規吸収材料として報告された。2012年以降,発電効率が急速に改善され,現在では22%を達成。現在では世界における太陽電池開発の主役ともいえる存在となっている。
太陽電池の開発において,現在の主な研究対象である三次元ペロブスカイト化合物は,耐湿性に問題があるが,二次元ペロブスカイト化合物はより安定性に優れる。しかしながら,基板に対してペロブスカイト層が水平に配向するため,電気が流れにくいという欠点があった。
今回研究グループは,二次元ペロブスカイト層のBサイト(ペロブスカイト層内にある八面体結晶構造の間にできる空間)部分のメチルアミン(最も基本的な第一級アミンでBサイトにおさまるサイズのアミン)をホルムアミジン(Bサイトにおさまるサイズのアミン)に替えることで,垂直配向性を向上させた。
ペロブスカイト層の間にある有機層にカルボキシ基による水素結合部位を導入することにより,さらに垂直配向性が向上した。カルボキシ基とは,有機化合物の原子団の一種で,酸性を示す有機化合物の多くはその構造中にCOOH基が存在し,これをカルボキシ基という。
研究グループは今回の研究より,ペロブスカイト太陽電池の安定性向上ならびに長寿命化への貢献が期待できるとしている。