天文台ら,太陽観測ロケットで軟X線分光に成功

国立天文台,東京大学,名古屋大学,宇宙航空研究開発機構,東京理科大学らは,米ニューメキシコ州ホワイトサンズの観測ロケット打ち上げ場にて,太陽観測ロケットFOXSI-3の打ち上げを行なった(ニュースリリース)。

これによりFOXSI-3は,最高到達高度約300kmの弾道軌道で約15分間飛翔し,「活動領域」,「静穏領域」,「太陽の北極域」といったX線輝度の異なる3つの太陽コロナ領域を,約6分間観測した。FOXSI-3搭載の観測機器は全て正常に動作し,世界初となる太陽コロナの軟X線・集光撮像分光観測に成功した。

FOXSI-3は,斜入射ミラーと検出器から成る望遠鏡を7本持ち,ミラーの数や検出器の種類を変えることで,広いエネルギー範囲のX線を観測する。6本の望遠鏡は,硬X線域を観測するために日本のチームが開発した焦点面検出器を搭載している。

これらの検出器は,FOXSIの過去2回の飛翔でも搭載されて成果を出してきたもの。FOXSI-3で新たに採用されたのは,軟X線域の撮像分光観測を行なうための裏面照射型CMOS検出器で,望遠鏡の1本に搭載された。0.5keVからの太陽軟X線域における集光撮像分光観測は,FOXSI-3が世界初の試みとなる。

今回,これら7本の望遠鏡により,太陽コロナ中の超高温プラズマや非熱的プラズマについて,詳細な調査が可能となった。また他にも,硬X線観測用のCdTe検出器,3D金属プリンターを用いた迷光遮蔽構造体(プレ・コリメータ),軟X線用の可視光遮光フィルターなどの技術が搭載された。

この打ち上げの目的は,太陽コロナにおける高エネルギー現象(エネルギー解放,粒子加速,加熱など)の理解。そのうちのひとつが,「ナノフレア」のコロナ加熱への寄与を調べること。通常,コロナの温度は数百万度程度だ,ナノフレアが起こると1000万度の高温のプラズマが生成されると考えられている。

今後,得られたデータを詳細に解析し,1000万度の高温プラズマが太陽コロナ中に恒常的に存在するかを調べることで,ナノフレアのコロナ加熱への寄与に関する理解が進むと期待される。またFOXSI-3は,太陽フレアにおける粒子加速の理解を目指した将来の衛星計画に向けた科学的・技術的実証実験でもある。

今回の観測データの解析は始まったばかりだが,研究グループは,合計数百万個以上の軟X線光子を検出したとしている。

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