阪大,MALDI-IMSで昆虫体内の農薬動態を可視化

大阪大学の研究グループは,マトリックス支援レーザー脱離イオン化イメージング質量分析法(MALDI-IMS)を用いて,ショウジョウバエ中のネオニコチノイド系農薬の一つであるイミダクロプリド分布を可視化することに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

これまで,様々な農薬について,植物ならびに昆虫体内での分布はほとんど明らかになっていなかった。また,昆虫体内での農薬や生体分子の分布情報を得るための標本作成方法が困難であるという課題があった。

今後,環境負荷を低減する農薬開発において,新たな農薬評価手法が求められており,その一つとしてMALDI-IMSが注目を集めつつある。MALDI-IMSは,イオン化補助剤であるマトリックスを試料表面に供給後,レーザーを照射することで発生したイオンを質量分析により検出し,試料内におけるイオンの空間分布情報を可視化する手法。

研究グループは,ショウジョウバエ中のイミダクロプリド分布を明らかにするために,昆虫(ショウジョウバエ)から測定用標本を作製するための手法を検討し,MALDI-IMS専用機である「iMSCope TRIO」(島津製作所)を用いて分布情報を可視化した。

さらに,目的のイミダクロプリドをMALDI-IMSで検出する際,インソース分解によるグアニジン化が起きることも証明し,イミダクロプリドの分布情報を可視化する
にはグアニジン化イミダクロプリドを対象にしなければならないことを証明した。新しい装置,新しい手法,新しい試料を用いることでこれまで得られなかった分布情報を得ることができるようになった。

この成果により,新しい農薬評価手法が確立されることになる。また,今後農薬の植物体内での分布情報のみならず,植物と接触した昆虫体内においても農薬分布が可視化出来る可能性があるという。

さらにこの手法では,イオン化ができればどのような分子も分布情報を得ることができるため,農薬分布と共に,昆虫体内での生体分子の変化をも明らかにすることが可能となるとしている。

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