昭和大学横浜市北部病院消化器センターは,人工知能(AI)を併用した大腸内視鏡検査について,700名超の患者を対象に診療現場での精度評価を行ない,このAIが大腸ポリープが前がん病変(腺腫など)かどうか予測する機能をもち,その精度が90%超であることを示した(ニュースリリース)。
このAIは,医工産連携研究(昭和大学横浜市北部病院,名古屋大学,サイバネットシステム)によって開発されたもの。
大腸内視鏡で前がん病変(腺腫など)を切除することで,大腸癌による死亡を減らせることが知られているが,前がん病変を正しく診断できる医師は限られている。この問題点をAIで解決すべく,研究グループは連携して,前がん病変を自動識別する人工知能(AI)を開発した。
AIはオリンパス製の超拡大内視鏡「Endocyto」に対応し,学習用画像は昭和大学・国立がん研究センター中央病院・国立がん研究センター東病院・静岡がんセンター・東京医科歯科大学から提供を受けた。
この精度を評価するため,791人の患者に対し,AIをリアルタイムで用いた大腸内視鏡検査を実施した。この臨床研究は倫理委員会承認の下に実施され,AIは微小大腸ポリープを93.7%の精度(=腺腫に対する陰性反応的中率)で診断した。
このAIは薬機法承認申請済であり,医薬品医療機器総合機構(PMDA)において審査中。診療に影響を与える可能性がある内視鏡診断支援システムは,薬機法承認取得が必要と考えられているという。