オムロンは,これまで人の目に頼らざるを得なかった外観検査工程の自動化を促進する画像処理システム「FHシリーズ」を2018年8月1日よりグローバルで順次発売する(ニュースリリース)。
近年,不良発生時の原因究明や対象範囲の特定を容易にできる目視検査の自動化への要求が高まっている。この製品は,「MDMC照明」の導入に合わせて,コントローラーとカメラを刷新し,人の目では判別がつかない検査対象の微小な差異を定量的に検出・判断し,検査結果の数値管理を可能にしたもの。
「MDMC照明」は,光の色や角度を自在に調整できるを照明装置。異なる角度から照明を当てた500万画素以上の高解像度画像を合成することで,凹凸のある欠陥を浮かび上がらせ,混同しやすい検査対象物の模様からキズのみを抽出する「照度差ステレオ処理」を搭載する。また,コントラストの低い薄いシミや線キズなどをソフトウェア処理で強調して検出可能にする「前処理フィルタ群」を追加搭載する。
8000万画素に及ぶ業界最高解像度画像を用いた広視野での位置決めが可能。同シリーズが検出した位置データをモーターに高速フィードバックすることで,これまでステージの振動や搬送時の細かな位置決め誤差で生じていたリトライの発生を防止し,1ミクロン単位の位置決めを従来比3倍の速度で実行する。
各社ロボットメーカーの産業用ロボットと画像処理システムを接続して使用する「ピックアンドプレース」などのアプリケーションの立ち上げ時に必要な,ロボットとの通信設定やフローメニューの作成が不要になる「ロボットビジョン設定ツール」も搭載した。
近年,医薬品業界などで法規制化が進む「検査結果の全数保存」にも,処理速度の高速化と,各種制御機器との通信ネットワークを介した高い同期性によって,生産性を落とすことなく対応する。さらに,ソフトウェアによるシーン切替え機能を用いて「MDMC照明」の照明条件を自在に変更し,従来は照明の追加や再調整が必要であった生産品目の変更や需要変動による検査項目の追加,変更にも柔軟に対応できる。