広島大,巨大質量ブラックホール形成に新たな知見

広島大学の研究グループは,米NASAのX線観測衛星「Chandra」によって,過去に急速に形成された巨大質量ブラックホールを持つ小さな銀河を観測し,その銀河が約1000万度の高温プラズマに覆われていることを発見した(ニュースリリース)。

ほとんどの銀河の中心には,太陽の数100万倍から数10億倍の質量をもつ巨大質量ブラックホールが存在すると考えられている。そうしたブラックホールがどのように形成されたかは依然として分かっていない。

ブラックホールの質量は,母銀河の約1000分の1くらいであるのが典型的だが,最近,母銀河の数100分の1の質量であるブラックホールが見つかってきた。これは,小さい銀河のわりに,ブラックホールの質量が非常に大きいというもの。

こうした銀河は,どのように進化してきたのか,そして,なぜ小さな銀河なのにブラックホールの質量が重いのかは謎。今回の観測では,こうした銀河に温度が約1000万度にもなるX線で輝く高温のプラズマを発見した。

銀河初期には多くあった冷たいガスが冷えて星が形成されたが,その後に生じた高温のガスが冷えないと新たな星は形成されない。そのために,この銀河では星の形成が130億年前からほぼ止まっていると考えられるという。

このことから,過去に巨大質量銀河が形成されてから星があまり生まれなかったため,母銀河の質量が小さいのではないか,ということが推測されるとする。研究グループは今回の研究について,今後の観測に期待がかかるものだとしている。

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