九工大,核膜を蛍光色素で染色することに成功

九州工業大学は,細胞の核膜を蛍光色素で染色する技術の開発に成功した(ニュースリリース)。

生命の設計図であるDNAは,核膜によって隔てられた核内に存在している。核膜は非常に複雑な構造体だが,細胞分裂の度に崩壊と再形成を繰り返している。このような核膜の動きを追跡するためには,生きた細胞の中で核膜を染色する必要があり,これまでは核膜に存在するタンパク質に蛍光色素を連結したものが使用されてきた。

しかし,核膜に存在するタンパク質は,染色体などの核内成分と相互作用するため,核膜の動きを正確に追跡することができないという問題があった。

研究では,火山や温泉などに生息する「古細菌」という生物から見つけた,特殊の酵素反応を利用して,核膜だけに蛍光色素(蛍光タンパク質)を連結する技術を開発した。この技術では核膜に元々存在するタンパク質を利用しないため,核膜の動きを正確に追跡することができる。実際に,この技術を利用して細胞分裂中の核膜の様子を詳細に観察することに成功した。

この技術は,細胞分裂の仕組みを調べる基礎研究だけでなく,ガン細胞の識別などの医療分野への応用も期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 農工大,EL材料や蛍光マーカーに期待の材料を合成 2025年04月28日
  • JAEAら,α線がん治療薬の有効性を迅速に見える化 2025年04月28日
  • 工科大ら,がんのバイオマーカーを3分で蛍光測定 2025年04月25日
  • 名大ら,PAHを効率的に変換・可溶化し蛍光標識剤に 2025年04月25日
  • 関西医大と島津,光免疫療法の臨床研究を開始 2025年04月18日
  • 東京科学大,深層学習で蛍光免疫センサーを高性能化 2025年04月04日
  • 滋賀医大,非ヒト霊長類に新規遺伝子導入法を適用 2025年03月27日
  • JAIST,がん治療に磁石と光で制御するナノ粒子開発
    JAIST,がん治療に磁石と光で制御するナノ粒子開発 2025年03月10日