九工大,核膜を蛍光色素で染色することに成功

著者: sugi

九州工業大学は,細胞の核膜を蛍光色素で染色する技術の開発に成功した(ニュースリリース)。

生命の設計図であるDNAは,核膜によって隔てられた核内に存在している。核膜は非常に複雑な構造体だが,細胞分裂の度に崩壊と再形成を繰り返している。このような核膜の動きを追跡するためには,生きた細胞の中で核膜を染色する必要があり,これまでは核膜に存在するタンパク質に蛍光色素を連結したものが使用されてきた。

しかし,核膜に存在するタンパク質は,染色体などの核内成分と相互作用するため,核膜の動きを正確に追跡することができないという問題があった。

研究では,火山や温泉などに生息する「古細菌」という生物から見つけた,特殊の酵素反応を利用して,核膜だけに蛍光色素(蛍光タンパク質)を連結する技術を開発した。この技術では核膜に元々存在するタンパク質を利用しないため,核膜の動きを正確に追跡することができる。実際に,この技術を利用して細胞分裂中の核膜の様子を詳細に観察することに成功した。

この技術は,細胞分裂の仕組みを調べる基礎研究だけでなく,ガン細胞の識別などの医療分野への応用も期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 金沢大ら、細胞内のATP濃度を決定できる蛍光寿命型センサーを開発

    金沢大学と東京科学大学は、ATP(アデノシン三リン酸)濃度を蛍光寿命という蛍光タンパク質の光学的特性に変換して測定できる、新しい蛍光センサーを開発した(ニュースリリース)。 私たちの体を構成する最小単位細胞では、さまざま…

    2025.11.28
  • 新潟大,蛍光分光法で無花粉スギの簡易識別法を開発

    新潟大学の研究グループは,蛍光分光法を用いた無花粉スギの簡易識別技術を開発した(ニュースリリース)。 無花粉スギの花粉を飛ばさない性質は,雄性不稔遺伝子と呼ばれる1つの潜性遺伝子で決まる。そのため,両親から雄性不稔遺伝子…

    2025.10.01
  • 北大,乳がん等の検出にSWIR蛍光プローブを開発

    北海道大学の研究グループは,乳がん等の検出のための蛍光プローブ(機能性試薬)を開発した(ニュースリリース)。 がんを早期かつ正確に検出することは,患者の生存率や治療効果を高めるために非常に重要。広く使用されている画像診断…

    2025.08.19
  • 広島大ら,魚から発せられる光により鮮度を判定

    広島大学と宇和島プロジェクトは,生物が本来持っている蛍光(自家蛍光)を詳細に解析することにより,鮮魚の鮮度を非破壊的かつ定量的に評価できる可能性を調査し,少なくとも,トラウトサーモン,マダイ,ブリの3魚種に共通する蛍光成…

    2025.08.18
  • 科学大,粘度測定を実現する蛍光色素の設計指針確立

    東京科学大学の研究グループは,凝集誘起発光色素(AIE色素)の粘度応答性発光を実験と理論の両面から系統的に調査し,従来の分子ローターと呼ばれる蛍光粘度センサーよりも高感度な分子の設計指針を確立した(ニュースリリース)。 …

    2025.08.08
  • 国がん,内視鏡の新しい画像強調内視鏡技術を検証

    国立がん研究センターは,新しい画像強調内視鏡技術であるTXI観察法と従来の通常光観察法の病変発見能を前向き多施設共同ランダム化比較試験で検証した(ニュースリリース)。 大腸を調べる検査のうち,大腸内視鏡検査は,大腸がんを…

    2025.07.31
  • MKS,蛍光イメージング向けフィルターセットを発売

    米MKS Inc.は,蛍光イメージング向けに設計した「Newport ODiate 蛍光フィルターセット」を発表した(ニュースリリース)。 DAPI,TRITC,GFP,FITC,Texas Red,Cyanine (C…

    2025.06.26
  • 神大ら,光ファイバーを生体に刺入し内部細胞を撮像

    神戸大学,理化学研究所(理研),甲南大学は,がん細胞を生体内の深部までリアルタイムに可視化することに成功した(ニュースリリース)。 がんの内部は,様々な特徴を持ったがん細胞や免疫細胞,線維芽細胞など多様な細胞が不均一に入…

    2025.06.10

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア