神大ら,エマルション望遠鏡の気球実験に成功

神戸大学と名古屋大学の研究グループは,世界最高角度分解能,世界初偏光感度,世界最大口径面積を有するエマルション望遠鏡による宇宙高エネルギーガンマ線精密観測実験GRAINE計画を進める中で,望遠鏡の総合的な性能実証を目指した2018年オーストラリア気球実験に成功した(ニュースリリース)。

荷電粒子の飛跡を捉えるエマルションフィルムは,高エネルギーガンマ線の痕跡を世界最高精度で記録できる。このエマルションフィルムに,自動でフィルムの大面積を解析する技術と,エマルションフィルムに時間情報を付与する技術を併せることで世界最高角度分解能,世界初偏光感度,そして,世界最大口径面積を有するガンマ線望遠鏡が実現可能となった。研究グループは,長時間気球飛翔を繰り返すことで宇宙高エネルギーガンマ線精密観測を目指す,GRAINE計画を進めている。

今回,エマルション望遠鏡の総合的な性能実証を目指し,全天で最も明るいガンマ線源で南天に位置する帆座パルサーを観測するため,JAXAが提供する気球飛翔機会を利用し,2018年4月にオーストラリア気球実験を実施した。

4月26日,気球放球に成功。放球した気球は上昇し続け約2時間後に高度38kmに到達し,帆座パルサーがエマルション望遠鏡の視野を横切る時間帯を十分カバーするように飛翔した後,エマルション望遠鏡を停止。着地地点を注意深く予測した上で気球を切り離し,パラシュートで緩降下させた。

これにより,これまでのエマルション望遠鏡気球実験で最長の気球飛翔を達成するとともに,その間,エマルション望遠鏡の安定した運用を続けた。翌日にはエマルション望遠鏡(特にエマルションフィルムやデータストレージディスク)を無事に回収した。

その後,一部の飛翔エマルションフィルムの試験現像を行ない,光学顕微鏡での観察により,飛跡の写り具合に問題がないことを確認。その後,のべ489枚,総面積43.8m2の全てのエマルションフィルムの現像処理を無事に完了した。

研究グループでは現在,飛翔データ解析を進めており,帆座パルサーを検出し,望遠鏡の総合的な性能実証を目指している。その後,大口径面積エマルションガンマ線望遠鏡による長時間気球飛翔を繰り返し,科学観測の開始を目指す。

その他関連ニュース

  • ソニーCSLら,ISSと地上局で光ダウンリンク確立 2021年10月12日
  • NINSら,1年が1日以下の地球型惑星を小恒星で発見 2021年09月28日
  • 東北大ら,ガンマ線とニュートリノの発生源に新説 2021年09月27日
  • トプティカらのレーザー,天文台の試験に合格 2021年09月13日
  • 阪大,重力マイクロレンズ法で系外惑星を証明 2021年08月30日
  • 東大ら,金星の夜間の大気循環を赤外線観測で解明 2021年07月26日
  • 京大ら,レーザーで結晶の生成を超高速計測 2021年07月15日
  • ニコン,仏望遠鏡メーカーと共同開発契約を締結 2021年07月13日