三菱電機は,フランス気象局からニース・コート・ダジュール国際空港(ニース国際空港)向け晴天時風観測用「空港気象ドップラーライダー(DIABREZZATM(ダイヤブレッツァ)Aシリーズ)」を受注したと発表した(ニュースリリース)。
航空機の離着陸時に乱気流による事故防止のために空港周辺の風速や風向きを測定する必要があるが,従来の電波を用いるレーダー装置(空港気象ドップラーレーダー)では雨滴や雲のない晴天時は測定ができなかった。
今回受注した「空港気象ドップラーライダー」は,単一周波数のパルスレーザーを用いて大気中のちりや微粒子の動きを捉えることで,晴天時でも風速や風向きをリアルタイムに測定できる。また,高出力光アンプの搭載により,20km以上の風計測を実現するとともに,ICAO推奨要件に基づいた観測距離を十分に満たしている。
従来は雨天時の乱気流検出用に「空港気象ドップラーレーダー」が空港に設置されていたが,近年は雨天時だけではなく晴天時における対策が求められており,ドップラーレーダーとドップラーライダーを組み合わせた活用が大規模な空港を中心に検討されている。
同社は,2015年に晴天時風観測用の「空港気象ドップラーライダー」の納入を開始し,現在は東京国際空港(羽田),成田国際空港,香港国際空港(中国)で計5台が運用されている。2018年度に,北京大興国際空港(中国),アンタルヤ国際空港(トルコ)へ納入予定。今回のニース国際空港向けの受注を契機に欧州での受注拡大を目指し,グローバルで売上高25億円を目指す。