OIST,ガラスの微小気泡で微小粒子を検出

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,ガラスの微小気泡を利用して作製したセンサーに光を当てることで,微小粒子の検出に成功した(ニュースリリース)。

光が球内に照射されると,球の内面を何度も反射しながら,光学カルーセルを作る。小さな球の内部を反射する光子は,時には100mもの遠距離を移動することもある。 しかし,光子が球の内側表面を跳ね返る度,少量の光が外に逃げていく。

この漏れ出た光は,「エバネセント光の場」として知られている。このエバネセント光の場の内側にナノ粒子が来ると,波長を歪め,効果的に場の色を変化させる。この色の変化をモニタリングすることにより,ウィスパリング・ギャラリー共振器(WGR)をセンサーとして使用することができる。今回,研究グループは,従来の研究成果をもとに,より感度の高いセンサーを設計した。

作製したWGRは,空洞のガラスの泡のようなもので,最小で100ミクロンほどの大きさしかなく,壊れやすいものの,同時に展性がある。研究グループは,ただの固球体よりも内側に空洞を持つ球体(つまりバブル状のもの)を用いることで,光の場を大きくすることができることを示した。大きな光の場を持てれば,粒子を検出できる範囲も増加し,センサーの検出性も増す。

この装置のコンセプトを証明するため,研究グループはまず,ガラスの気泡をポリスチレンの微小粒子を含む溶液で満たし,その液体で満たされた内部に光の場を生成させるため,ガラスフィラメントに沿って光を当てた。その結果,粒子が光の場の範囲内を通過する際,標準的な球状WGRよりも,はるかに顕著に波長をシフトさせていることが観察された。

このWGRの作製は容易であり,しかもカスタムメイドのケースを用いれば,安全に運搬できるので,幅広い分野での使用が可能。例えば,汚染を検知するために水中の毒性分子を検出したり,血液媒介ウイルスを検出したりすることもできるようになるという。

研究グループは今後,より感度を高めることで,センサーの感度を物理的な限界まで押しあげたいとしている。また,次の課題として,この技術の応用法を見つけようとしている。さらに,異なる材料が光の場に対してのどのような変化をもたらせるかを知ることで,その変化をもたらすものを特定し,それを研究対象にそのふるまいをも制御したいとしている。

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