千葉大ら,ニュートリノ放射源天体を同定

千葉大学,広島大学,東京大学,国立天文台らの研究グループは,宇宙ニュートリノの到来方向に,強いγ線放射天体を観測し,γ線天体が宇宙ニュートリノとその親粒子である宇宙線を放射していることを史上初めて明らかにした(ニュースリリース)。さらに,国内外の望遠鏡群を駆使して可視光・近赤外域の追跡観測を行なうことで,候補天体が活動的な状態にあったことを捉えた。

宇宙から飛来する高エネルギーニュートリノの発見は,超高エネルギー宇宙線の起源という長年の謎を探る突破口となった。しかし,今までニュートリノ放射源天体の特定には至っていなかった。

そこで,研究ではニュートリノ速報システムによる「マルチメッセンジャー観測」という新しい手法を開拓した。これは,南極点のIceCube実験により検出された高エネルギー宇宙ニュートリノをユニークなアラート(速報)と見立て,その到来方向を世界中の天文施設にて追観測を行なうことで,放射起源を特定するというもの。

日本時間の2017年9月23日,宇宙ニュートリノリアルタイム解析システムにより,高エネルギー宇宙ニュートリノ事象が検出された。ニュートリノ速報システムによりこの事象の情報は全世界に即時配信され,様々な天体観測施設が追観測を行なった。

広島大学のかなた望遠鏡はニュートリノ事象検出の20時間後に観測を開始し,ニュートリノの到来方向にあるブレーザー天体が可視光域で増光していることを発見した。その情報を元にFermi-γ線衛星の観測チームが解析を行ない,通常をはるかに上回る輝度でγ線を放射している事が分かった。

その中核に巨大なブラックホールを備えたこのブレーザー天体は既知の天体。この天体は同年4月からその活動を活発化し,通常時の最大約6倍の輝度でγ線を放射していた。ニュートリノはまさにこのγ線放射の活発期に検出されたことがわかった。

さらに,より高いエネルギーのγ線に感度がある解像型大気チェレンコフ望遠鏡での観測により,この天体から100GeVを超える非常に高エネルギーのγ線を検出した。高エネルギーニュートリノ事象と方角・時刻ともに同期した超高エネルギーγ線放射が史上初めて同時観測された。

今回,高エネルギーニュートリノ放射天体を初めてつきとめた。ニュートリノ事象を生成した陽子のエネルギーはPeV以上にも達することから,この天体は超高エネルギー宇宙線放射天体(PeVatron)だという。研究グループは,超高エネルギー宇宙線加速という宇宙でもっとも激しい現象の現場を,初めて明らかにしたとしている。

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