京大ら,光でオフになる光センサータンパク質を発見

京都大学,岡山大学,神戸薬科大学,京都府立医科大学,大阪大学らは共同で,光を受けてスイッチオンするのではなくスイッチオフする,興味深い動物の光センサータンパク質「Opn5L1」を発見し,そのきわめてユニークな性質を解明した(ニュースリリース)。

多くの動物は,外界からの光を最初に受けて生体反応のスイッチを入れるオプシンと呼ばれる光センサータンパク質を持っている。オプシンは光を受けるためにタンパク質内部にレチナール(ビタミンAの誘導体)を持ち,光を受けるとレチナールの形を変化させてスイッチオンし,生理機能(例えば視覚)を発現する。

そして,眼で働く視覚オプシンなどでは,光を受けて変化したレチナールは一旦捨ててスイッチオフの状態になり,新たなレチナールを取り込むことで次の光に対応する。

しかし研究グループは,オプシンのうちニワトリの脳内で機能する「Opn5L1」が光を受けると逆にスイッチオフする興味深い機能を持つことを確認した。さらに,Opn5L1はスイッチオフしたあともレチナールを離すことなく保持し,また元の状態に戻ることがわかった。このようなユニークな性質を持つオプシンの発見はこの研究が初めて。

Opn5L1はヒトを含むほ乳類は持たないものの魚類から鳥類までの幅広い脊椎動物が持っていることから,これらの動物では光を受けてスイッチオンするオプシンと,スイッチオフするOpn5L1の両方を持つことで,ヒトよりも多様な方法で光環境に適応していることが解明されたとしている。

その他関連ニュース

  • 広島大ら,光で細胞内のタンパク質の輸送を制御 2024年12月18日
  • 東工大,藻類に周囲の明度に順応する検知機構を発見 2024年10月23日
  • 京大,藻類のCO2吸収の鍵となるタンパク質機能解明 2024年09月04日
  • 東北大ら,構造変化を解析する一分子計測技術を開発 2024年08月29日
  • 秋田大,Gタンパク質の活性化を蛍光で可視化 2024年08月07日
  • 広島大,円二色性装置でタンパク質の構造を可視化 2024年07月19日
  • NIG,光合成生物でタンパク質ノックダウン法を開発 2024年07月18日
  • 東工大ら,化学反応中の分子構造変化を即時追跡観察 2024年07月09日