玉川大学と愛知県立大学は,従来の量子受信機(逐次型受信機)に対する新たな性能解析法を確立し,この受信機ではレーザー光の識別において必ずしも最適性能を達成できないことを明らかにした(ニュースリリース)。
レーザー光を用いた光通信・光計測技術は,インターネットや産業・医療を始めとした様々な分野に活用され,私達の生活基盤を支えている。今後,光通信の大容量化や光センサーの高感度化をさらに高いレベルで実現することが要求されており,この要求に応えるためには微弱な光をできるだけ精度良く識別できる受信機が必要になる。
微弱光では量子雑音と呼ばれる雑音が支配的になることが知られており,量子雑音を抑制することが可能な受信機として量子受信機が提案されている。これまでに,逐次的に光検出を行なうタイプの量子受信機(逐次型受信機)について数多くの研究が行なわれ,古典的な受信機よりも高い識別性能が得られることが原理実験により確認されてきた。
しかし,レーザー光の場合に識別性能が最も高い量子受信機(最適量子受信機)を逐次型受信機で実現できるか否かは長年の未解決問題だった。
今回,逐次型受信機の識別性能を解析するための新しい理論を確立することに成功した。また,この理論を用いてレーザー光に対する解析を行なうことで,逐次型受信機では最適量子受信機を実現できない場合があることを解明した。
これにより,限界性能を実現するためには新しいアプローチによる量子受信機が必要であることが明らかになったとしている。