理研ら,広温度/磁場領域での超電導接合技術を開発

理化学研究所(理研)と住友電気工業の共同研究グループは,レアアース系高温超電導線材同士の接合部において,広い温度と磁場の領域でその電気抵抗をゼロにする新しい接合技術を開発した(ニュースリリース)。

強力な磁場を必要とする核磁気共鳴画像(MRI)装置や核磁気共鳴(NMR)装置は,電磁石として超電導コイルを搭載している。このような超電導装置には,これまで金属系低温超電導線材が用いられてきたが,液体ヘリウム(-269℃)で冷却する点が,さらなる普及の制約になっていた。

一方,レアアース系高温超電導線材は,安価で取り扱いやすい液体窒素(-196℃)で超電導状態(電気抵抗ゼロ)を維持できる。さらに,液体ヘリウム温度まで冷やすことで,金属系低温超電導線材より強い磁場を作ることができる。

MRI装置やNMR装置に使われる超電導コイルを作るには,長い線材同士を何回もつなぎ合わせる必要がある。しかし,つなぎ目に強い磁場がかかると電気抵抗が発生するため,強い磁場の中でも電気抵抗ゼロを示す「超電導接合」の技術開発が強く求められていた。

今回,共同研究グループが開発した超電導接合技術は,レアアース系高温超電導線材の表面にナノ粒子のレアアース系高温超電導材料を付着させ,これを他方のレアアース系高温超電導線材とサンドイッチさせて高温で熱処理することが特徴。

この接合部は,液体ヘリウム温度から液体窒素温度の広い温度領域で電気抵抗ゼロを維持できるだけでなく,数テスラの強い磁場の中でも電気抵抗が発生しないことを確認した。また,接合工程の信頼性も高く,従来手法と比べて約10分の1の時間で処理できるため,レアアース系高温超電導技術の普及を促進する要素技術となるという。

この成果により,レアアース系高温超電導線材を用いた装置の適用範囲が飛躍的に広がると期待できる。今後研究グループは,科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業(大規模プロジェクト型)を通じ,多くの機関との連携のもと,実際の高磁場の NMR 装置で実用化するための技術に高めていくとしている。

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