東芝は,次世代の半導体パワーデバイスとして期待されるGaNパワーデバイス向けに,信頼性向上に繋がるゲート絶縁膜プロセス技術を開発した(ニュースリリース)。
この技術により,閾値電圧変動等の特性変動が大幅に低減できる。この技術を適用したGaN-MOSFETにより,GaNパワーデバイスの信頼性が向上し,さらなる普及が期待できるという。
スイッチング電源やサーバ電源など電子機器に用いられる電源には,従来,シリコン(Si)を用いたパワーデバイスが使用されている。
より優れた材料物性を有する窒化ガリウム(GaN)を半導体材料とするトランジスタを使用することで,電源の高効率化が期待されているが,高速性に優れるGaN-MOSFETは,従来技術では閾値電圧の変動が課題となり,実用化には至っていなかった
同社は,GaN-MOSFETの閾値電圧変動を起こす要因が,ゲート絶縁膜中の不純物トラップにあることを突き止め,ゲート絶縁膜中不純物を極限まで低減するプロセス技術を開発した。
GaN半導体加工時のダメージを回復する処理を施した上で,形成したゲート絶縁膜に適切な熱処理を加えることで,ゲート絶縁膜中に含まれる水素等の不純物を極限まで低減することができる。
これにより,従来技術と比較すると,閾値電圧変動が大幅に低減し,世界トップクラスのゲート信頼性を実現できるという。同社は,この技術の実用化に向けて,信頼性のさらなる向上を目指し,研究開発を進める。