京大ら,琵琶湖の植生の衛星モニタリング手法を開発

京都大学と滋賀県琵琶湖環境科学研究センターは,船の航行や水の利用に大きな影響を与える沈水植物(水底に根を張る水草)のLANDSAT-8衛星リモートセンシングを用いたモニタリング手法を開発した(ニュースリリース)。

湖における富栄養化の指標として,植物プランクトン濃度が長い間最重要とされており,その監視技術は海洋と淡水域について確立されてきた。

しかし近年,沈水植物の被害が深刻化してきた琵琶湖では,沈水植物の大量繁茂による船舶航行障害,景観悪化,漁業・取水障害,生態系への悪影響等が問題になっており,その分布域と量の推定技術開発が求められていたが,植物プランクトンと沈水植物の反射スペクトルの分離は困難だった。

研究グループは,JAXAの気候変動観測衛星「しきさい」により2013年から2016年にかけて撮影した琵琶湖南湖の画像から,湖面の明度を手掛かりに沈水植物の分布を解析するアルゴリズムを開発した。その結果,実際に潜水調査した結果とほぼ変わらない精度で沈水植物を見つけ出すことに成功した。

今回開発した技術では,空間解像度30mの衛星画像からでも沈水植物の定量化とその分類が条件によって可能であることが証明された。研究グループでは,この人工衛星による監視技術を琵琶湖南湖の管理に役立てると共に,2017年12月23日打ち上げ予定の気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)を用いたJAXAとの共同研究を通じて,世界の湖における淡水管理に役立てたいとしている。

キーワード:

関連記事

  • 京都大学 特別教授 野田進教授

    フォトニック結晶レーザーが拓く「高輝度半導体レーザー」の次章

    半導体レーザーは小型、高効率という強みを持つ一方で、高出力化するとビームが乱れ「輝度」が伸びないという壁があった。フォトニック結晶レーザーはその常識を塗り替えつつある。その研究の先駆者である京都大学高等研究院・特別教授の…

    2026.04.02
  • 【主張】政策と技術を結ぶ日本の可能性

    世界最大の光学展示会 3月15日から米国ロサンゼルスでOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)が開幕する。通信バブル崩壊後、存在感を失っていた同…

    2026.03.25
  • Orbital Lasers、30.2億円の資金を調達 宇宙用レーザーの送受光技術を開発へ 

    Orbital Lasersは、シリーズAラウンドとして第三者割当増資及びJ-KISS型新株予約権の発行により30.2億円の資金調達を実施した(ニュースリリース)。これにより、シードラウンドからの累計エクイティ調達額は3…

    2026.03.23
  • 大阪公立大、光による植物の成長調節に関わる仕組みを解明

    大阪公立大学の研究グループは、暗所で育てたエンドウの芽生えに光をあてた際の「茎の成長」と「接着力」との関係を解析した結果、光によって成長が抑制される際に、両組織の接着力が増加することが確認された。さらに、光を当てることで…

    2026.03.10
  • 岡山大など、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用静電気センサを開発

    岡山大学、大阪公立大学、九州工業大学、産業技術総合研究所、春日電機は、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用の静電気センサを開発した(ニュースリリース)。 近年、人工衛星を活用した宇宙ビジネスが拡大している。小型衛星ネッ…

    2026.03.03

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア